プライベート・エクイティ トップインタビュー ティーキャピタルパートナーズ株式会社 取締役社長 マネージング・パートナー 佐々木 康二 氏 / 取締役 マネージング・パートナー 小森 一孝 氏 / ヴァイスプレジデント 光浪 修介 氏 (2020.4)

小森 一孝 氏 取締役 マネージング・パートナー

資産運用の仕事に携わることを目指して東京海上に入社した小森氏は、留学を機に強くPEファンドの仕事に惹かれて東京海上キャピタル(TMCap)へ転籍、以後同社の実績に貢献してきた存在。
ティーキャピタルパートナーズの独立・再スタートにも深く関わり、現在は最前線に立ちながら陣容強化や人員育成にもコミットしているという。そこで、同社が望む人材像について話を聞いた。

東京海上に入社した小森さんが、T Capitalの前身の東京海上キャピタルでPE業務に携わるようになった経緯を教えてください。

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【小森】もともと私は資産運用の仕事に興味があり、1990年に東京海上に入社し、希望した財務企画部という資産運用を統括する部署に配属となりました。東京海上の資産運用・金融事業を企画する仕事の中で、欧米のPEファンドへの投資業務に関与する機会があり、PEファンドの仕事に興味を持つようになりました。

私がMBAを取得して帰国した時、ようやく日本でもPEファンドの活動が本格化し始めており、東京海上キャピタル(TMCap)でも佐々木が中心になって事業を推進しようとしていたので、自ら手を挙げて、2002年にTMCapに出向させてもらいました。TMCapのチームメンバーとして様々な投資案件に携わるうちに、この仕事の魅力に取り憑かれて、2005年に新しいファンドを立ち上げるタイミングで、東京海上を退職してTMCapに完全に籍を移し、PEファンドの世界で生きていくことを決めました。

ティーキャピタルパートナーズの仕事の進め方について教えてください。

【小森】「チームワーク重視」と「少数精鋭」がティーキャピタルパートナーズ(T Capital)の組織体制の特徴です。実際の投資案件では、マネージング・パートナーの下でプリンシパルが各案件の責任者になり、実務メンバーとしてヴァイスプレジデントがチームを組みながらプロジェクトを進めていきます。投資の意思決定は、若手も含めて全メンバーが参加する投資委員会で幅広い視点から議論をしながら進めています。組織内の誰か1人が全てを決めるようなことはなく、ファンドとしての投資ポリシーや規律を守りながら、チームの力を結集して投資を進めていくことが基本です。

投資ポリシーや規律を重んじることで投資に至る案件の数は絞り込まれてしまいますが、良い会社に投資し、集中して経営支援していくことできるので、担当チームのメンバーのコミットメントも高まり、結果として優れた投資リターンにつながるという好循環が生まれていると考えています。佐々木も話していたようにT capitalは投資先や投資家の皆さんと誠実に向き合い、信頼関係を構築する姿勢を何よりも重視しているので、こうしたチームワークとファンドとしての規律を常に意識して活動することが重要であると考えています。

チームでワークしながら、担当者は投資プロセスの最初から最後までを一気通貫で担うのだと聞きました。

【小森】その通りです。T Capitalでは一つの投資案件に対して、同じ担当チームメンバーが投資検討のフェーズからバリューアップ、そしてExitのプロセスまで一貫して担当していきます。これは投資先企業の経営陣との信頼関係に基いた投資を行う上で当然の「あるべき姿勢」と言えます。

また担当するチームメンバーにとっても、その案件に最後までコミットする覚悟を持って投資の意思決定に関与し、全ての投資のフェーズに携わることで幅広い能力を身に付けることが可能になります。投資経験を重ねて加速度的に成長を実現し、かつチームワークの重要性も理解してプロジェクトをリードできるようになれば、次はプリンシパルとして若手メンバーを育成する立場へとステップアップしていくことになります。

PEファンドによっては、投資後の企業に経営陣を派遣してバリューアップにハンズオンで関わるようですが、T Capitalは違うようですね。

【小森】T Capitalの経営関与の特徴は、経営実績を有する優れた経営陣と相互信頼と適度な緊張関係のもとで、共同して企業価値を向上させていく点にあります。従って、案件のソーシング段階から、佐々木や私も含めたマージングパートナーが投資候補先の経営陣の皆様とお会いし、信頼関係を構築できるかどうかをお互いに確認していきます。投資後は担当する若手メンバーが常に「横から目線」で経営陣や社員の方々と寄り添い、経営状況や課題をモニタリングしながら、必要に応じて自らもそのサポートに入る形となります。

他のPEファンドは、自らが経営者として深く関与し、投資先企業をその流儀で牽引していくような強いハンズオンの姿勢を採用しているところもあり、また投資先企業の側でもそうした手法を望む場合もあります。しかし、T Capitalには「長期的な投資先企業の発展を望むのであれば、自らの力で業績を伸ばしていける企業になれるように経営の支援をすべき」という信念があり、そのためにこうした相互信頼に基づいて、「横から目線」で見守り、支えていく経営関与の姿勢を貫いています。

採用に力を入れていこうとされていますが、スキルやマインドセットなどの人材像について、どういうお考えを持っているのでしょうか?

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【小森】MBOを実行して、独立系PEファンドとして新たな歴史がスタートしましたが、独立後も事業承継の案件を中心に、従来以上に多くの投資案件のご相談を頂いております。また第6号となる新しいファンドの募集に向けて、準備を進める段階にもなっていますので、若手メンバーを増やしていきたいと考えています。

採用活動においては、今回のインタビューを通じて、佐々木光浪の話からもお分かり頂けると思いますが、ハードスキルに加えて、ソフトスキル面をより重視して採用の判断をしています。勿論、投資やM&Aに係わる実務知識を有する方、事業会社やコンサルの経験を有する方はPEファンドで活躍できる可能性はあると思いますが、それ以上にこの仕事ではコミュニケーション能力やリーダーシップ、忍耐力といったことが必要とされます。正しい事業分析をして美しい事業計画を描き、複雑なモデルを構築できたとしても、それで投資が実行でき、企業が成長して、最終的に投資のリターンが得られるような簡単な仕事ではありません。

投資の一連の過程で関わる多くの関係当事者の立場や考え方を十分に理解し、その方々からの信頼を得られるような行動と発言を意識して続けていくことが常に求められます。自分から能動的に動き、相手の立場に立った言葉と行動を通じて思いを伝えていくことができる人物、それが私たちの望む人材の最優先事項になります。T Capitalの投資に対する姿勢や考え方に共感して頂ける方とお会いできることを楽しみにしています。

プロフィール

写真:小森 一孝 氏

小森 一孝 氏
取締役 マネージング・パートナー
慶應義塾大学経済学部卒業。ミシガン大学ロスビジネススクールにてMBA取得

新卒で東京海上火災保険に入社。金融事業戦略の企画立案や資産運用分野に携わった後、米国へ留学。2001年に帰国した直後に佐々木氏が率いる東京海上キャピタル(TMCap)に参画すると、小売および流通、サービス業界を中心に、大企業グループのカーブアウト案件、ファミリービジネスの事業承継案件を幅広く担当。正式に転籍を果たした上で実績を上げ、2019年のMBO後はマネージング・パートナーとして人材採用・育成にもコミットしている。

写真:光浪 修介 氏

光浪 修介 氏
ヴァイスプレジデント
早稲田大学商学部卒業。

新卒で三井住友銀行に入行。法人営業を経てPE投資に関する企画業務に携わった後、米系ブティック投資銀行リンカーン・インターナショナルに入社し、M&Aアドバイザリー業務を務めた。2018年3月、ティーキャピタルパートナーズ(旧・東京海上キャピタル)に参画。これまで2つの投資先企業に携わるなど、PEファンドの最前線で活躍している。

写真:佐々木 康二 氏

佐々木 康二 氏
取締役社長 マネージング・パートナー
九州大学法学部卒業。ペンシルバニア大学ウォートン校にてMBA取得

新卒で日本長期信用銀行(現 新生銀行)に入行。クロスボーダーM&Aのアドバイザリー、海外支店勤務等を経て1998年に東京海上火災保険に入社し、グループ傘下の投資会社である東京海上キャピタル(TMCap)に勤務。PE投資チームの立ち上げを担い、これまでに同社で5つのファンドを通じ投資実行を指揮してきた。2015年に代表取締役社長に就任。2019年にMBOを実施し、独立系PEファンドとして再スタートした「ティーキャピタルパートナーズ」の社長を務めている。日本プライベート・エクイティ協会理事。

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