誰もがうらやむようなご経歴を踏まえた上で、
前田さんがCLSAへの参画を決めた理由とは何だったのでしょうか?
【前田】前職や前々職でも、十分にやりがいや醍醐味を得ることはできていました。しかし、気持ちの中に「もっと事業に近い場所で仕事をしたい」「もっとオーナーシップをもって多くの案件に関わりたい」というような願望があったのも事実でした。
そんな中、CLSAの展開するサンライズ・キャピタルがミッドキャップ特化のハンズオン投資のファンドであった点に、魅力を覚えて入社を決めました。結果として求めていた通りの経験ができており、自分の判断は間違っていなかったと思います。
想定外に良かったと思うことは、ミッドキャップ投資の対象となる企業では事業の発展の面で我々のような立場の人間を活用してもらえる機会がとても多いということですね。入社以来投資先の日々の事業運営に深く関与する機会を数多く得ていますが、会社で起きる文字通りあらゆることに当事者意識をもって向き合うという意味で、実に泥臭い仕事です。もちろん、いい意味での「泥臭さ」です。
今回ご登場いただいた4人のかたが共通しておっしゃっているのが、「泥臭さ」の向こう側にある中堅企業ならではの価値や可能性。それを大きくしていくことにこそ喜びがある、というご指摘も共通しています。やはり前田さんもそうなんですね?
【前田】中堅企業の中には、ビジネスモデルや競争戦略等に関係なく、その会社の「個々人の力」と「組織の力」を100%出し切れる状態に近づけることで大きく飛躍する可能性を持っている会社が数多く存在すると考えています。場合によってはこれだけで全く違う会社のようになってしまうこともあるでしょう。
「個々人の力」という意味では、我々のような明らかに「異質」な人間が会社の中で一緒に机を並べて必死に仕事をする中で、スキル面・マインド面の両面から刺激を感じていただけることが多いように感じています。毎回最初は変な目で見られるのですが。。。
「組織の力」という意味では、経営者の目指す方向を全員が本当の意味で理解・共感し、その実現に向けて力の向きを揃えて結集できるようにすることです。これには私たちが経営者と現場の方々の両方の想いを理解し・共感したうえで全社の目線をそろえるために地道なコミュニケーションを続ける必要があります。
会社がよくなることはもちろん重要なことですが、こういった仕事を通じて会社の方と時には生涯の友人ともいえるような関係を得られることもあり、私にとってこの仕事の大きな喜びの一つになっています。
ファンドとして利益をあげるためには綺麗ごとだけの関係でいることはできず、営業目標や組織の在り方等意見が合わず激しくぶつかり合うこともよくあります。常に忍耐強く正面から正直に向き合うことで問題が解決に向かい、その人との関係もより深まることが多いように思います。
ファンド内ではいわゆる典型的な外資系ファンドのスタンダードなオペレーションを回しつつ、投資先ではその会社特有の風土の中で社内にどっぷりと棲み込み成長にコミットする。CLSAのファンド運営は数多くあるファンドの中でもユニークなスタイルだと思います。
CLSA独自のアプローチによって手に入るものとは何なのでしょう? 今教えていただいたような投資先企業との密な関係性というのもその1つだと思うのですが、例えば当人の成長という視点から考えた時、どんなものが得られるとお思いですか?
【前田】PEファンドというのは、すでに一定の歴史があり「生きている」会社の株式を取得して実質的な支配権とそれに伴う責任を背負い、一定期間後にその株式を手放して投資額より大きな金額を回収することで利益を得る、という商売で、PEとよく比較されるような他の業種とは実際のところ似ても似つかない商売だと思っています。
世の中にいろんな職業がありますが、PEという商売はある意味特殊なので、この世界で得られるものがそれほど汎用性が高いとは正直思いません。あくまでPEという商売を追及するための知識・経験が得られるのだと考えるべきだと思います。
一方で、企業の株式への投資で利益を上げるということは、その会社で起きるあらゆることがファンドの利益に影響を与えるということであり、極端な話、会社で起きることで「自分には関係のないこと」というのは基本的にありえません。
会社で起きるあらゆることについて当事者意識を持ち、それが会社の将来にどのような影響を与えるのかを常に考えることが必要で、その姿勢は経営者のそれに近いことは確かだと思います。このような姿勢で会社と向き合い続けることで、経営者に寄り添ったものの考え方は身についていくのではないでしょうか。
投資で利益を上げるには会社・経営者に常に寄り添うことが重要であり、CLSAではまさにこのように会社と関わり経験を積む機会が多くあります。また、将来経営人材を目指す人には、この仕事を通じて自身の経営者としての可能性・資質を判断するうえで一定の示唆は得られるのかもしれません。
このような経験を通じた成長を望んでいる人がいるならば、ぜひCLSAの特徴や可能性に興味を持って欲しいと思っています。活躍できるチャンスはどんどん膨らんでいますので。