現役戦略コンサルタントコラムシニアアソシエイトとは?コンサルで求められる役割とマネージャー候補としての準備

はじめに

シニアアソシエイトとは?コンサルで求められる役割とマネージャー候補としての準備

コンサルティングファームにおけるキャリアパスの中で、シニアアソシエイトはマネージャーへの昇進を直前に見据えた重要なポジションです。この役職は、プロジェクトの中核を担い、チームをリードする役割を果たします。本稿では、シニアアソシエイトの役割や求められるスキル、そしてマネージャー候補としての準備について、ハード面とソフト面の両面から詳しく解説いたします。

本論

1. シニアアソシエイトの役割と位置づけ

シニアアソシエイトは、アソシエイトとして一定の経験を積んだ後に昇進するポジションであり、マネージャーの指揮下でプロジェクトの実務を担当する重要な役職と位置付けられています。具体的な業務には、成果物の作成、仮説の構築、クライアントへのインタビュー、情報収集、資料作成への指示出し、そしてコンサルタントやアナリストの管理などが含まれます。また、規模の小さいプロジェクトでは、シニアアソシエイトがプロジェクトリーダーを務めることもあります。
コンサルティングファームによって役職の呼び名や位置づけは異なりますので、若干違和感を抱かれた人もいらっしゃるかもしれません。本稿においてはシニアアソシエイトは「シニアコンサルタント」と同程度の、マネージャーの直前のタイトルと捉えていただくのがよろしいかと思います。一般的には、入社3〜8年目で到達するポジションであり、年収では(近年の大手ファームにおいては)1,000万円台に乗り始めるタイトルとなっています。

2. ハード面での準備:スキルと知識の習得

論理的思考能力

シニアアソシエイトには、複雑な情報を正確に捉え、筋道を立ててシンプルにする論理的思考能力が求められます。これは、クライアントの課題を把握し、最適なソリューションを考案するために不可欠なスキルです。
特にシニアアソシエイトレベルにおいては、プロジェクトのかなめとなるパートを担当するようになることが多くなります。論理的思考能力を求められるのは当たり前と言ってもよいかもしれません。そのうえで、プロジェクトにおいて何を答えるべきか?を論理的に導き出す必要があります。

問題発見・解決能力

論理的思考能力とセットで求められる能力です。問題の所在を見極め、解決に必要なことを考える能力ですが、プロジェクトにおいて言い換えれば仮説構築能力と言ってもよいかもしれません。論理的に解くべき問いを設定したうえで、その解決のために何をしなければならないか、を仮説として設定することが求められます。
また、プロジェクトの進行中に発生するトラブルに対して、臨機応変に対応し、解決策を提示する能力も求められます。この能力を養うためには、過去のプロジェクトの振り返りや、フィードバックの活用が効果的です。

プレゼンテーション力

クライアントへの提案内容を効果的に伝えるプレゼンテーション力も必要です。これは、相手のニーズを汲み取りながらストーリーを展開し、複雑な情報をわかりやすく伝えるスキルを指します。欲を言えば、単にわかりやすく伝えるだけでなく、クライアントが自分の説明に対しどのような理解をしているのかを気にし始めて欲しいところです。説明に対しクライアントが納得しているのか、疑問を持っているのか、興味がないのか、反応を見ながら説明を変えられるようになると、マネージャーへの道は近いのではないでしょうか。プレゼンテーション力を向上させるには、実践を重ねることが重要です。

マネジメントスキル

プロジェクトを期日までに完了させるためのマネジメントスキルも欠かせません。これには、スケジュール管理能力、タスク管理能力、予算管理能力、チームメンバーの管理能力、進捗管理能力などが含まれます。特にポイントとなるのは、「チームメンバーの管理能力」です。シニアアソシエイトは、一番プレイヤーとして能力を発揮するタイミングでもあります。一方、次に向けてはプレイヤーだけでなく、マネジメントのロールも求められるようになります。これまで自分自身の価値を発揮していればチームに貢献できていたのが、チーム全体の価値向上を求められるようになるわけです。

コミュニケーションスキル

シニアアソシエイトは、アナリストやマネージャー、クライアントなど、多くの関係者と関わる機会が増えるため、コミュニケーションスキルが求められます。マネジメントスキルとも重複しますが、ここでも自身の価値の発揮の仕方の変化が求められます。これまで以上に相手の意図を汲み取り、必要な情報をわかりやすく説明する能力が重要です。

3. ソフト面での準備:考え方や心構え

マネージャーの仕事を奪う意識

シニアアソシエイトは、マネージャーの補佐としてプロジェクトにアサインされることが多いですが、補佐にとどまらず、自分がプロジェクトの代表であるという意識を持ち、マネージャーに相談しつつも中心となってプロジェクトの推進を行う心構えが必要です。言い換えれば、マネージャーがいなくても自分さえいればプロジェクトが進むような状況を作っていくことができれば、次に向けた準備ができたも同然でしょう。

クライアントからの信頼を勝ち取る

クライアントとのコミュニケーションの矢面に立つようになると、クライアントとの接点が増え、自然とプロジェクト内外の相談が増えていきます。クライアントとのコミュニケーションは、バイネームで相談を受けるようになることが目標です。そのためには、カウンターパートやその方が所属する部署全体への理解を深めることが重要です。
特に新卒からコンサルタントキャリアを選択した人は、いかに事業会社の文化を理解しながら、コンサルタントとして課題解決を進められるかというところが問われます。正論をぶつけても動かない状況において、どういった支援をすればクライアントの目指す方向性に進められるかを提言できれば、クライアントからの評価は間違いなく高まります。

プロジェクトの派生テーマにアンテナを張る

シニアアソシエイトは、プロジェクトの継続や派生プロジェクトの提案にも関与することが期待されます。プロジェクトの進行中に浮かび上がる課題や新たなニーズに敏感に反応し、マネージャーやパートナーと連携して提案活動を行うことが求められます。自分だったらどんなプロジェクト(とそこにおける価値提供仮説)を提案できるかを考えることは非常に重要な取組みです。

4. 陥りがちな悩みとその対策

業務量の増加による負担

シニアアソシエイトは、プロジェクトの中核を担うため、業務量が増加し、負担が大きくなることがあります。このような場合は、(当たり前の話ですが)改めてタスクの優先順位を明確にし、効率的に業務を進めることが重要です。また、適切なタイミングで上位者や同僚に相談することも大切です。

マネジメントスキルの不足

チームメンバーの管理やプロジェクトの進行管理など、マネジメントスキルが求められる場面で、自信を持てないことがあります。特によくあるのが、前述したようにプレイヤーとしての価値と、マネジメントとしての価値をどのように両立させるかという悩みです。
よくあるケースとしては、自分の能力を基準としてタスクを設計してしまい、メンバーがその期待値に応えられないがためにプロジェクト全体のパフォーマンスが下がってしまうことです。自分自身だけでなく、メンバーのスキルセットや置かれている状況をきちんと把握することが求められます。

クライアントとの関係構築の難しさ

シニアアソシエイトの段階においては、クライアントとの信頼関係を築くことが難しいと感じることがあります。このような場合は、一足飛びにクライアントのマネジメント層との信頼関係を構築するのではなく、まずはカウンターパートである担当者やその上位層とのコミュニケーションを通じてクライアントのニーズや課題を深く理解し、的確な提案を行うことで、信頼を得ることができればよいでしょう。

終わりに

シニアアソシエイトは、コンサルティングファームにおける重要なポジションであり、マネージャーへの昇進を見据えた準備期間でもあります。ハード面では、論理的思考能力や問題解決能力、プレゼンテーション力、マネジメントスキル、コミュニケーションスキルなどの習得が求められます。ソフト面では、マネージャーの仕事を奪う意識やクライアントからの信頼を勝ち取る姿勢、プロジェクトの派生テーマにアンテナを張るなどの心構えが重要です。
これらのスキルや姿勢を身につけることは非常にハードルが高いように感じるかもしれません。但し著者の経験や、現状のファームでの状況を見ていても、これを乗り越えられなければマネージャーにはなれません(なれたとしてもご自身や周りが不幸になってしまうだけです)。
コンサルタントとして、一番最初にぶつかる大きな壁がこのシニアアソシエイトからマネージャーへの壁です。早い段階から備え、乗り越えるための覚悟をもってぶつかってください。

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