現役戦略コンサルタントコラムコンサルに向いている人材とは?『地頭』と『体力』が重要って本当?

はじめに

コンサルに向いている人材とは?『地頭』と『体力』が重要って本当?

コンサルティング業界は、多様な業界・課題に対応し、顧客に対して高い付加価値を提供するプロフェッショナル集団として知られています。近年では、新卒・転職問わず、多くの人材がこの業界を志望していますが、その選考過程においてよく話題になるのが「地頭」と「体力」の重要性です。

「地頭」に関しては様々な議論があることは承知していますが、ここでは学歴や知識の量とは異なり、柔軟で論理的な思考力をイメージしてください。一方「体力」は、長時間労働やプレッシャーの中でパフォーマンスを発揮し続けるための身体的・精神的な持久力を意味します。果たして本当にこれらが重要なのでしょうか。また、それ以外に必要な資質はあるのでしょうか。

本稿では、「地頭」と「体力」が求められる具体的なシーンとその理由を掘り下げるとともに、それ以外のケイパビリティにも目を向け、コンサルに向いている人材像を考察します。

本論

1.地頭が重要とされる理由と具体的なシーン

コンサルタントの業務は、複雑かつ未整理な問題に対して解決策を導き出すことです。たとえば、顧客企業が直面している課題は、業界構造、競合環境、内部プロセスなど多くの要因が絡み合っており、表面的な情報だけでは解決策にたどり着くことはできません。

こうした状況で必要とされるのが、「地頭」の良さ、すなわち論理的思考力、仮説構築力、抽象化能力です。たとえば、ヒアリングした情報をもとに、複数の仮説を立てて検証を繰り返し、最も妥当な因果関係を見極める能力。これはまさに「地頭」が問われる局面です。
また、初めて関わる業界においても、短期間で大量の情報を処理し、エッセンスを抽出して構造化する力が必要です。地頭の良さは、未知の領域でも瞬時に本質を捉える力として、極めて高く評価されます。

逆に地頭がないと何が困るのでしょうか。上で述べている通り、地頭は論点や仮説を設定するために必要な能力です。それがない、ということは即ちアナリストからコンサルタント以上への昇進ができないことを意味します。アナリストレベルでは言われたことを正確かつ効率的に処理できれば及第点は取れますが、コンサルタント以上となると、自ら問いを立て、それに対する解を出さなければなりません。そのため、地頭が重要な要素として挙げられると考えられます。

2 体力が求められる理由と場面

コンサルタントの働き方は、プロジェクトベースであることから、特定の時期に負荷が集中する傾向があります。納期前の資料作成、顧客との定例報告、社内レビュー対応など、1日に何件もの打ち合わせが入ることも珍しくありません。

このような環境では、一定の体力がなければ高いパフォーマンスを維持するのは困難です。ここで言う「体力」とは、単なるフィジカルな強さにとどまらず、睡眠不足でも集中を切らさず働き続けられる精神的なスタミナ、いわば"メンタル体力"も含まれます。

また、移動や出張も多く、身体的な負担は少なくありません。たとえば、朝は5時に起床して空港へ直行し、昼間はクライアント先でミーティング、夜はホテルで資料を作成するといったスケジュールも珍しくありません。こうした日々を乗り越えるためには、体力と自己管理能力の両方が必要です。

アスリートとは違った体力ではありますが、知的プロフェッショナルとして、クライアントに価値を出し続けるための体力がコンサルタントには求められます。

3.地頭・体力以外に必要な資質とは

地頭と体力だけでコンサルタントの資質が決まるわけではありません。むしろ、それらを土台としながら、さらに以下のようなケイパビリティが求められます。

コミュニケーション力:クライアントとの信頼関係構築には、論理的な説明力だけでなく、共感力や聞く力が必要です。単なる知識の押し付けではなく、相手の立場を理解しながら適切なフィードバックを返す力が重要です。

チームワーク:プロジェクトは常にチームで動きます。相手の強みを引き出し、自分の弱みを補完し合うことで、アウトプットの質を高めていく姿勢が求められます。

セルフマネジメント力:体力にも通じますが、自分のコンディションやスケジュールを把握し、適切に優先順位をつける能力は非常に重要です。特にマルチタスクが求められる現場では、自律的に行動できる人材が重宝されます。

変化対応力:クライアントや業界、プロジェクトによって環境は常に変わります。ルールのない中で柔軟に対応し、適応していく姿勢が問われます。

終わりに

本稿では、コンサルタントに求められる要素として「地頭」と「体力」の重要性を中心に論じてきました。地頭は、問題の本質を捉え、素早く構造化する力として、あらゆるフェーズで必要とされます。体力は、過密なスケジュールの中で安定したアウトプットを出すための基盤であり、持続的に高いパフォーマンスを維持するための条件です。

筆者はよく面接において、候補者から「コンサルタントとして活躍している人はどんな資質をもっているか?」という質問をいただくことがあります。その際にこの2つを最初に回答することはありません。厳しいことを言うと、この2つはコンサルを志す人にとってはある種あって当たり前のものです。強みとして捉えるのではなくベースラインと考えるべきでしょう。これら以外に、ご自身が何を強みとして発揮できるのかを考えるべきかもしれません。

本論においては、その2つ以外に挙げたのは主にスキル面を中心としたものですが、現在筆者が所属しているファームだとそこに「好奇心」や「素直さ」が追加されることが多いです。これは強みというよりも伸びしろに近い話ですが、長く続けていくためには重要なポイントと考えています。

コンサルを志す方は、自分の「強み」と「伸びしろ」がどこにあるのかを把握し、足りない部分については日々の生活や学習の中で補っていく姿勢が必要です。難易度の高い業界ではありますが、それだけに自己成長の機会も豊富です。自身のポテンシャルを信じ、地頭・体力・その他の資質を磨き続けることで、プロフェッショナルとしての道が開けるはずです。

Free
Consultation

10年以上の経験を持つ業界専任のコンサルタントが
あなたの転職活動に伴走します マネージャ~シニアクラスまでハイレイヤーの業界内転職支援に豊富な実績がございます。
将来的なポストコンサル転職まで視野に入れた中長期のキャリア相談も歓迎いたします。

登録無料転職相談に申し込む

転職支援で受けられること

  • 業界トレンド・最新情報の提供
  • 非公開求人の紹介
  • 年収やタイトル等の条件交渉
  • 業界内でのコネクション作り支援
  • 入社後のフォローアップ