特別インタビュー ベインキャピタル・ジャパンLLC MBAプログラム プリンシパル 上山 聡 氏/シニア アソシエイト 横山 博紀 氏/シニア アソシエイト 山本 椋一 氏 (2025.6)

ベインキャピタル・ジャパンLLC MBAプログラム

グローバルな投資ファンドとして、企業価値の向上に深く関与するベインキャピタル・ジャパン・LLC(通称:ベインキャピタル)。ファンドとしては珍しく、社員の中長期的な成長を後押しするため、海外MBAへの留学支援に力を入れている。また、実務を通じて学ぶことを重視する同社では、将来の仲間との相互理解の機会と位置づけたMBA生向けのインターンプログラムも用意。MBA留学経験者および留学予定者である3名へのインタビューを通して、インターンプログラムの狙いやMBAの意義、ファンドで働く魅力を掘り下げた。
 

まずは皆さんのキャリアについてお聞かせください。

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【上山】大学卒業後、外資系コンサルティング会社に入社しました。途中で転職し、2社で合計8年ほどコンサルタントとして働いた後でMBA留学。帰国後の2020年にベインキャピタルに入社しました。

【横山】私は新卒では外資系投資銀行に入社しました。東京とニューヨークで計5年間在籍した後、2021年に転職してベインキャピタルに参画しています。今年の夏から、ベインキャピタルからのスポンサーでハーバード・ビジネス・スクールへ進学する予定です。

【山本】私は総合商社に新卒入社し、PEファンドや不動産事業に関わる部門に6年ほど在籍していました。その後、会社を退職して、MBA留学。留学期間中にベインキャピタルで約10週間のインターンプログラムに参加し、修了後の2024年に入社しました。

ベインキャピタルのMBAインターンプログラムの詳細を教えてください。

【上山】東京オフィスでは、MBA生の夏休みを活用した10週間のインターンプログラムを実施しており、毎年複数名の方にご参加いただいています。

最大の特徴は、MBA生向けの疑似的な体験プログラムではなく、弊社のアソシエイトの1人として、実際の投資業務にしっかりと関わっていただく点にあります。

インターン期間中は、投資候補先のリサーチや投資の可能性を検討する業務を中心に、複数の案件に携わっていただきます。さまざまなメンバーと働いてもらえるようにアサインメントを組みますので、業務に必要なスキルを実践的に学んでいただけるのはもちろん、ベインキャピタルの社風や働き方、チームワークなども間近で感じていただけると思います。

MBAの座学だけでは得られない「リアルな学び」があるという点が、弊社のMBAインターンプログラムの一番の特徴だと言えます。

【山本】私は2023年の夏、MBAの夏休みを利用してインターンに参加し、卒業後にベインキャピタルに入社しました。現在、入社してから約9カ月が経ちますが、インターンで経験した業務と、実際の業務の内容に大きな違いはありません。

前職では総合商社に勤めており、投資銀行やコンサルティング会社での経験はありませんでした。そのため、そのようなバックグラウンドの方々がほとんどを占めるファンドでの業務についていけるかどうか、少し不安を抱きながら参加しました。しかし、インターンとして実際の業務を体験する中で、もちろん学ぶべきことは予想通りたくさんあると実感しつつも、「ベインキャピタルであれば、長期的な視点で成長していけそうだ」という、半ば自信のようなものをつかむこともできました。

インターンプログラムを通して、MBAの方にどんなことを期待していますか。また、採用されるにあたって必須のスキルはありますか。

【上山】弊社のMBAインターンはいわゆる「採用直結型」です。インターン期間中にしっかりとご活躍いただいた方には、採用オファーをお出ししています。オファーの数には、現時点では特に上限は定めていません。ですから、MBAインターンは弊社の採用における非常に重要なチャネルの一つになっています。


背景として、MBA留学を達成された方々は、多忙な業務と並行して留学の準備を進めてこられた計画力や実行力をお持ちですし、MBA課程で経営やファイナンスを包括的に学び、多様な国籍・バックグラウンド等の中で磨いたコミュニケーション力や協働力も備えています。そうした経験は、弊社の業務においても大いに活かせると考えています。
また、10週間のインターンを通じてお互いの理解を深めることができ、結果として採用のミスマッチが起きにくくなるという点でも大きな意味があります。
なお、インターンにご参加いただく段階で必須のスキルは特になく、留学前のご経歴も問いません。ただ、企業分析や基本的な財務知識、簡単なモデリング等のスキルがあれば、インターン開始時点からよりスムーズに業務に入っていただけると思います。インターン中に社内向けのトレーニングプログラムも複数用意していますし、ベインキャピタルは昔から「教え合う文化」が根付いているので、一緒に仕事をしていただくアソシエイトとして周囲がしっかりとサポートします。

インターンに参加いただく方に期待しているのは、少なからずPEファンドの投資業務に関心があること、インターンの中で多くの人からさまざまなことを自ら学び、自分のものにしようとする吸収力があること、そしてチームの一員として貢献する姿勢をお持ちであること。現時点のスキルの高さ以上に、こうした姿勢や意欲を非常に大事だと考えています。

【山本】ベインキャピタルの「教え合う」というカルチャーは、インターンのときから強く感じていました。私自身、これまでの経歴を踏まえると、ハードスキルの面では最初はキャッチアップが必要な場面もあるだろうと覚悟をしていました。実際、大変な場面もありましたが、熱意を持って粘り強く取り組むことで道が開けましたし、わからないことがあればいつでも聞ける環境で、周囲のサポートにもずいぶん助けられました。その経験が、MBA修了後のキャリアチェンジを後押ししてくれたと確信しています。入社してからも、新しいことへのチャレンジが続き、正直なところ苦労もありますが、引き続き周りの力も借りながら、チームの一員として投資の意思決定に関わる重要な業務を担うことに、大きなやりがいを感じています。

ベインキャピタルに籍を置きながらのMBA留学も推奨していると伺いました。その背景、理由について教えてください。

【上山】PEファンドの中でも、弊社ほどMBA留学の支援に力を入れている例は、実はあまりないかもしれません。我々があえてそれを行っている理由は、大きく二つあります。

一つは、日々の実務の中で使っているファイナンス、会計、経営戦略やマーケティングといった知識やスキルを、改めて体系立てて整理し直す、いい機会になるからです。

もう一つは、普段の業務では接点がないような、さまざまなバックグラウンドを持った仲間との出会いと交流を通じて、リーダーシップを育む経験ができる点です。投資の仕事では、異なるインセンティブや考えをお持ちの多様なステークホルダーを巻き込んでいくことが必要です。さまざまな文化や視点が交差するMBAの環境で物事を推進していく経験は、実務でも確実に役に立つでしょう。英語力は当然のことながら、人との関係構築力をはじめとしたソフトスキル面での成長も大いに期待しています。

photo02.jpg【横山】上山が申し上げたようなソフトスキルは、社内的にはグローバルの投資委員会とのコミュニケーションにも活かせる部分があると思います。投資先の皆様と企業価値向上という大きな目標に向かってワンチームで立ち向かっていく上でも、非常に意義のある学びになるはずです。

もちろん、実務の経験の中で必要なスキル・経験を積んでいくこともできます。ただ、実務から離れたMBAプログラムを通して多様な経験をし、プロフェッショナルとしての "幅"のようなものを身につける時間も重要だと考えています。


1年ないし2年という貴重な期間を、実務から離れた学びに費やすことを不安に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

【山本】実務経験とのトレードオフは悩ましい点で、何が正解かは人によって答えは違うと思います。ただ、留学で得るものが多いのは確かだと私は思います。私の場合は、留学するまでは海外でのビジネス経験は多くありませんでした。でも、MBAでさまざまなバックグラウンドを持つ学生たちと、英語で積極的にディスカッションをしてアウトプットを出すという経験を2年間積んだことが、現在の実務においても活きていると感じています。一例をあげると、投資委員会とのコミュニケーションや、海外オフィスのメンバーと働く場面など、MBAでの経験は大いに役立っています。

【横山】私としても、2年間そのままベインキャピタルに身を置いて実務経験を積むのか、あるいはMBAに行くのかで迷った時期もありました。実際、弊社ではMBAを経ずにシニアポジションで活躍しているメンバーも数多くいます。でも、個人的には5年後に自らディールメーキングを行い、エクセキューションをリードし、投資後のバリューアップにも関わっていくことを考えたとき、先ほど上山が説明したようなまさにソフトスキルといった部分でまだまだ足りない部分があるという認識がありました。そのギャップをMBAを通じて埋められるのではないか、あえて仕事から一度離れてみることで得られるものがあるのではないかと考えて、最終的にMBA取得を決断しました。

【上山】弊社は人材のキャリアを長期的な視点で考えています。例えば「10年のうちのたかだか2年」とだと捉える考え方に近いのではないでしょうか。その期間に、MBA留学でしか得られない経験を積み、さまざまな知見を吸収してもらえれば、最終的には本人にとっても会社にとっても大きなプラスになるものと信じています。


ポストMBAのキャリアとして、ファンドを選ぶ意義はどんなところにあるのでしょうか。

【横山】投資案件の最初から最後まで見届けられることが、ファンドの仕事の一番の魅力だと思います。

前職の投資銀行では、M&Aのトランザクションをサポートする仕事をしていましたが、M&Aを実行した後のフェーズに関わる機会はあまりありませんでした。ファンドでは、投資を実行したあとに、実際にその会社のバリューアップを行います。投資先企業にとっても、資金を拠出している我々にとっても、よりよい企業価値を作っていけるように活動する点が、他の仕事ではなかなか経験できないことではないでしょうか。一つの会社が紡ぐ物語の一部始終を経験してみたいという人には、ぜひファンドを選択肢に入れていただきたいです。

【山本】商社や事業会社の投資部門と、PEファンドでは、「投資で利益を稼ぐ」という点では共通していますが、一人ひとりの働き方には大きな違いがあると私は思っています。最も異なるのは、個人の裁量の大きさです。

ファンドでは相対的に少ない人数で数多くの案件に関わっているため、一人当たりの裁量や責任が大きいと感じます。また、基本的にはアソシエイト等のジュニアメンバーであっても、専門家の方々の協力も得ながら自身の担当する領域をリードしていく役割を担います。だからこそ大変な局面も多くあるのも事実ですが、それ以上にやりがいも大きいと思います。

【上山】私はコンサルティング会社に在籍していたころから、日本の事業会社、特に日本の産業を支える製造業をご支援したいという思いを強く抱いていました。ベインキャピタルに移ってからも、関わる立場や役割は変わりましたが、根底にある思いは今も変わっていません。

PEファンドは、投資家の皆さまから調達した資金を拠出して、投資先の企業と同じ船に乗って企業価値の向上を共同で推進する役割を担います。投資先の皆さまと一緒に業績の改善や組織変革に取り組み、その結果を共に見届けるまで、より長く、より深く関わることができるところに、この仕事の面白さや意義があると感じています。

働く環境に対する、会社側のサポートはいかがですか。

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【山本】会社の大きな方針として、個々人の家庭の事情に最大限配慮しながら、安心して働いてもらえるような仕組みの整備が進んでいます。特にMBAに関しては、留学をきっかけにライフステージの変化が起こりやすい時期です。私もまさにMBA留学中に子どもが生まれ、生活スタイルが一変しました。私は基本的にはオフィスで勤務することが多いですが、必要に応じて在宅勤務を選択することもでき、非常にフレキシブルな環境で働けています。
また、育休を取得する若手も数多くます。

【横山】担当している案件の状況によっては、当然とても忙しいときもあります。それでも、前職に比べても労働時間は短くなりました。案件が一段落すれば、休暇を取得するなど余裕を持った生活もできますし、私はこの働き方が結構気に入っています。一方で、外部の方からは、連日深夜まで休みなく働いているようなイメージを持たれることも多いのも事実です。もちろん楽な仕事というわけではありませんが、メリハリのある働き方はできると自信を持ってお伝えできます。

また、この数年間で女性プロフェッショナルの数も増えており、各チームに女性メンバーがいることが当たり前の状況になってきました。社員の様々なニーズに応えながら、最高のパフォーマンスを発揮できる環境の整備は、今後も進んでいくと思います。

MBA留学後は、どのようにキャリアを描いていくことになりますか。

【上山】人によって異なりますが、今年留学予定の横山は、すでにベインキャピタルで多くの経験を積んでいますので、MBA修了後は、弊社の投資活動を引っ張っていくリーダーの1人として更に活躍してくれることを期待しています。

一方、山本のようにMBA留学を経て入社する場合、まずはベインキャピタルの仕事のやり方に慣れ、投資に対する考え方や基本的なスキルを着実に身に着けてもらうことが重要です。その期間は個々人の持つスキルや経験に応じて変わりますが、最終的には横山と同じように、チームリーダーとしての活躍を期待しています。

最後に、現役のMBA生や、これからMBA留学を視野に入れている方へメッセージをお願いします。

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【山本】自分のキャリアを長くとらえたときに、さまざまな2年間の使い方があると思います。MBA留学という選択は、実務から離れてさまざまなことを吸収する機会が得られます。私もプライベートな時間も含め、非常に充実した時間を過ごすことができました。留学を決めたら、ぜひ各々にとって有意義な2年間にしてください。

【上山】MBA留学は、普段の仕事ではできないこと、これまでやったことがないことにチャレンジできる絶好の機会です。ぜひ臆せずにトライしていただきたいです。そして、2026年もMBAインターンプログラムを実施予定です。ご関心ある方はぜひふるってご応募ください。

【横山】今年の11月、ベインキャピタルのボストンオフィスで、インターンプログラムに興味をお持ちの方や、弊社の業務やファンドの方針などについて話を聞いてみたいという方に向けて、カジュアルな交流会を開催する予定です。現在ベインキャピタルからMBA留学をしているメンバーを中心に集まり、私も参加する予定です。

「ボストンキャリアフォーラム2025」の開催に合わせたタイミングで実施するもので、昨年も30名弱のMBA生の方とお会いすることができました。弊社のボストンオフィスはボスキャリの会場から非常に近く、徒歩10分ほど。プライベート・エクイティ業界に関心のある方には是非ご参加いただき、当業界及びベインキャピタルの魅力を多くの方に知っていただければと思います。
 

プロフィール

写真:上山 聡 氏

上山 聡 氏

プリンシパル

ローランドベルガーを経て、ボストンコンサルティンググループのプロジェクトリーダーとして、主に通信、製造、運輸業界等の企業に対し、中期事業戦略策定、組織変革(トランスフォーメーション)、M&A戦略策定等のコンサルティングに従事。ロンドンビジネススクール経営学修士(MBA)。

写真:横山 博紀 氏

横山 博紀 氏

シニア アソシエイト

モルガン・スタンレーの東京及びニューヨークオフィスにて、コンシューマー・リテールを中心に幅広い業界におけるM&A及び資金調達業務に従事。2025年からハーバード・ビジネス・スクールに留学予定。

写真:山本 椋一 氏

山本 椋一 氏

シニア アソシエイト

三菱商事にて、PEファンド・不動産事業における、予決算管理、投融資案件の各種DD・スキーム策定、海外での事業会社立ち上げ等に従事。コロンビア大学経営大学院修士(MBA)。

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