プロ経営者インタビュー 斎藤 英明 氏 アクサダイレクト生命保険株式会社 代表取締役社長 (2013.10)

プロ経営者インタビュー

斎藤 英明 氏

[11]業界のプロとしての知見はいかがでしょう? やはり必要だとお考えですか?

前の質問への回答の延長上にあると思うのですが、業界のプロとしての知見もまた、「あったほうがいいに決まっている」と考えます。もちろん「なかったら務まらない」と考えているわけではありません。BCGでコンサルタントをしていた頃には、ほぼすべてのプロジェクトがゼロからのスタートでした。その業界のプロといえるような知見をまったく持っていない段階から走り始めて、数ヵ月後にはそれなりの問題解決に結びつけるのがコンサルタントという仕事です。ですから「知見」を持っていなかったらどうにもならない、とは思いません。本気でとことん学べば、短期間でもそれなりに手に入る。しかし、私の結論はこうです。

「知識だけで商売はできない。でも、知識がなければ商売はできない」。業界の知見には価値があります。なければ獲りに行くしかありません。私は金融機関に在籍した経験と、BCG時代に金融業界の案件に携わった経験から、ある一定の知見は持っていました。それがあったからこそ、アクサダイレクト生命での仕事に役立ちましたし、同時に足りていない知見にも多数出会いましたから、それは積極的に吸収していきました。今もなお勉強の連続です。

[12]過去に体験した最大の試練やストレッチされたご経験について教えてください。

すべての経験が試練とストレッチだったと捉えているので、「これが最大です」と言い切れない部分はあります。それでも「自分の居場所がなくなってしまうかもしれない」というようなリアルな危機感に遭遇した経験は一度だけですから、BCG時代の日々が私にとっては最大の試練だったかもしれません。おかげで、大きな成長を手にすることができましたけれども。

[13]経営者を志す者には、どのような努力や学びが必要でしょうか?

先に申し上げた通りです。目の前にあるチャンスを積極的に獲りに行くだけです。「○○な努力だけをすれば経営者になれる」という発想があるのだとしたら、そういう考え方自体を取り払って欲しいと思います。

[14]今までに影響を受けた先輩や師匠といえるかたはいらっしゃいますか?

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これも、誰か一人に特定することは難しいですね。それでも、強い印象が残っているのが誰なのかを考えると、やはりすぐに思い浮かぶのはBCGで出会ったかたがたです。徹底的に考え抜いて、とことんやり遂げる、ということを多くの人が実行していました。特に内田和成さんの当時の凄みは忘れられません。今はすっかり優しいかたになられましたが、当時は恐ろしいとさえ思っていました(笑)。

もう1つ、忘れてはいけない存在がBCG時代に出会ったお客様です。多様多才な経営陣のかたがたと出会い、ものの考え方や行動の起こし方などを勉強させていただいたことは、私にとって非常に大きかったと思っています。

[15]キャリアの成功とは「計画的に努力して成し遂げるもの」でしょうか?

それとも、「偶然や人との出会いなど、運が影響するもの」だとお思いですか?

人生を設計することは大切ですし、必要だと思います。けれども、多くのかたが同意してくれると思いますが、「決して設計したとおりにはならない」のも人生です。それに、予定調和的に設計通りの人生になることがイコール幸せとも限らない。質問への私の答えは「圧倒的に、偶然の方である」です。ただし、偶然は自分で起こせるし、自分で作り出すべきものだと考えてもいます。設計し、計画しつつ、偶然が発生することは想定して、むしろ自分から良い偶然を生み出していくように振る舞う。これが良いと思います。

[16]なぜ起業ではなかったのでしょうか?

単純明快、私には起業をする器量がなかったからです。業を起こすというのは、実に大変なことなのだと私は考えています。

[17]特別な信条やモットー、哲学などをお持ちですか?

特にありません。強いて挙げれば、楽観的な人間ですから「なんとかなる」がモットーだと言えるかもしれません。

[18]経営者となった今、何を成し遂げたいとお考えでしょうか?

今のこの仕事、つまりアクサダイレクト生命の経営という仕事をしっかりとやり遂げること。それ以外には何もありません。挑んでいる数々のチャレンジをできる限り成功させ、この会社を大きくし、この市場を大きくする役目をきちんと果たしていきたいと思います。

[19]現在のポジションを去る時、どういう経営者として記憶されたいですか?

「アクサダイレクト生命を大きくした人」だと記憶してもらえたなら幸せですね。それ以外の評価は特に望んでいません。

[20]20代、30代のビジネスパーソンにメッセージをお願いします。

このインタビューを読むかたの多くが、「いずれ企業の経営者に」と考え、日々奮闘している人だという前提でお話をします。

「ゆっくりやれば?」が私からのメッセージです。若くて、志を持っている人は本当に素晴らしいと思うし、目標を達成してほしいと願うばかりなのですが、ともするとそういう人の多くは、焦っているように見えることがあります。ゴムは一度伸びきってしまったら、もう元に戻りません。常に高いハードルを越えていくチャレンジや努力は是非続けて欲しいけれども、オーバーストレッチには気をつけて欲しいのです。

変に世の中の言説に影響され、成功例の型のようなものに影響されながら「あれもしなきゃ、これもしなきゃ」と焦る前に、まずはしっかりとした体力、気力を備え、養うこと。目の前にある仕事やチャンスを着実に捕らえて、得た経験を自分の中に蓄積していくこと。それを心がけてさえいればいいんだと思います。若い人には時間があります。ゆっくりとストレッチして欲しい。それが私からのメッセージです。

▼ 最新のプロ経営者インタビューはこちら(2021年10月掲載)
ジャパンシステム株式会社 取締役 代表執行役社長 斎藤 英明 氏

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