プロ経営者インタビュー 斎藤 英明 氏 アクサダイレクト生命保険株式会社 代表取締役社長 (2013.10)

プロ経営者インタビュー

斎藤 英明 氏

[5]ご家族やご親戚に経営者はいらっしゃいますか?

いません。厳密に言えば、父が小さな洋品店を営んでいましたから「経営者」と言えなくもありませんが、少なくとも「身近に経営者がいて、影響を強く受けた」と言えるような経験は持っていません。父からは「経営者として」というよりも「人として」大きく影響を受けました。息子の私は社会に出てから結構変化の多い人生を歩んできましたけれども、父は少々のことでつべこべ言ったりはしません。いつでも好きなようにさせてくれる。そこに感謝していますし、影響もされたと思っています。

[6]ご自身の性格について教えてください。

短気です。神経質なところもあるかもしれません(笑)。ただし反面、とても楽観的な人間でもあると自覚しています。神経質な側面から、常にいろいろな可能性やリスクを考えて行動するところはあるものの、最後は楽観性が姿を現して、「大丈夫。俺ならできる」となる(笑)。そういう人間です。

[7]いつ「経営者になろう」と思われましたか?

正直に申し上げると「いつか絶対に経営者になってやる」というような強い衝動にかられたことは一度もありません。もちろん、スタンフォードでは経営について学びましたし、BCGでは自分の仕事として企業経営に関わり、「面白い」と実感もしました。けれども、だからといって「絶対になるぞ」とは思いませんでした。BCGではパートナーになり、シスコでは専務執行役員にもなりましたが、ある意味「階級が上がった結果そうなった」という受け止め方。アクサダイレクト生命で今の立場に就いたのも、「そういうお話をいただけたし、魅力を感じたのでなりました」という感覚です。

[8]経営者に必要なメンタリティ、スキル、経験とは何でしょう?

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性格についての質問でお答えしたように、私は神経質でありつつ楽観的な人間なのですが、この二面性の共存が実は経営者に向いているメンタリティだと思っています。経営の仕事とは、責任重大な意思決定をしていくことですから、常に細心さが求められます。とはいえ、リスクばかり考えていたら会社は動きませんから、どこかのタイミングで「できる」「やる」と覚悟を決め楽観的に捉えることもできないといけない。

私の場合、かつて「経営者を務める」ことになった当初は「経営者らしいフリをする」ことに徹しました(笑)。フリといっても上辺の話ではなく、とことんなりきって必死で演じていく。そうするうちにフリが本物に変質していった感覚が残っています。

経営者に特定のスキルなど必要ない、とお考えのかたも世の中にはいらっしゃるかもしれませんが、私は現実を考えれば、どんなスキルでも持っていた方がいいに決まっている、と考えています。問題は「このスキルとあのスキルさえあれば、経営者として絶対にうまくいく」などと言えない点ですね。それは、その人がどういう会社のどういう状況を任されるかで違ってきます。ですから、とにかくチャンスがあるのなら選んだり迷ったりしないで、どんどん多くのスキルを吸収していくことをお勧めしたいと思います。いずれ、それぞれのスキルが思わぬところで役に立つ場面も出てくるはずです。

経験についてもスキルと同様のことが言えます。どんな経験であれ、しておいたほうがいい。本やスクールなどで学ぶことも大切ですけれども、やはり価値ある経験というのはビジネスの現場にある。さまざまなケースと遭遇して、成功も失敗も体験して自分の中で積み重ねていくことが、結果として経営の仕事に役立ってくると思います。

[9]他に経営者に必要な資質や能力などありますか?

健康。そして体力ですね。本当に重要だと考えています。私が在籍していた当時のBCGでは、よく「1に体力、2に気力、3,4がなくて5に知力」という言葉が使われていました(笑)。経営者というのはコンサルタント以上にタフな仕事だと言えます。健康で充実した体力を備えていないと、続きません。

[10]これらのスキルなどをどこで手に入れたのでしょうか?

私は、これまでの経験のすべてによって、今の状態を手に入れたと考えています。農林中金、ビジネススクール、BCG、シスコ、そしてアクサダイレクト生命......どれか1つが欠けても、「今の自分」にはつながらなかったはずだと思います。ここまでの一連の質問にお答えしてきた通り、「○○をしたら■■になれる、△△が手に入る」という発想は、違うんじゃないかと思うんです。経営者になろうがなるまいが、人のキャリアというものは、その人が味わったすべての経験の積み重ねの結果です。だからこそ、スキルでも経験値でも、「いろいろ手に入れて欲しい。積極的に獲りに行って欲しい」と思うわけです。

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