コンサルティングファーム パートナーインタビュー PwCコンサルティング合同会社 Strategy&リーダー 北川 友彦 氏 (2025.8)

PwCコンサルティング合同会社 Strategy&リーダー 北川 友彦 氏

「Strategy&」という組織をご存じだろうか。PwCコンサルティング合同会社において戦略コンサルティング部門の一翼を担う存在で、前身のブーズ・アンド・カンパニーは100年以上の歴史を誇る。「プロダクト・ライフサイクル」や「サプライチェーン・マネジメント」といったコンセプトを生み出した草分け的な存在だ。そのStrategy&が陣容の拡大にアクセルを踏んでいる。不確実性が加速度的に高まるビジネス環境において、どのようにクライアントの変革を後押ししていくのか。組織カルチャーや求める人材像を含め、リーダーの北川友彦氏に聞いた。

北川様ご自身のキャリアについてお教えください。

PwCコンサルティング合同会社(以下、PwCコンサルティング)のストラテジーコンサルティング(以下、SC)部門に属するチーム「Strategy&」でリーダーを務めています。

私自身は2000年に新卒でコンサルティング業界の門を叩きました。それ以後、25年にわたってブーズ・アンド・カンパニーおよびStrategy&に身を置いています。マネージャーの頃までは幅広い業界に携わっていましたが、今は自動車や産業機械、重工業などが専門領域です。バンコクへの出向経験をきっかけに、「日本の製造業の発展をもっと後押ししたい」と感じたことが背景にあります。

ストラテジーコンサルティング部門の詳細についてご説明いただけますか。

PwCコンサルティング合同会社 Strategy&リーダー 北川 友彦 氏

PwC Japanグループ全体の人員数は約1万2,700人で、うち5100人程度がPwCコンサルティングに在籍しています。3つのチームで構成するSC部門は約420人で、Strategy&はおよそ160人体制です。

戦略に特化したStrategy&のほかに、デジタルテクノロジーやM&Aなど4つの高度な専門領域を持つX-Value & Strategy、望ましい未来を大胆に描いて戦略に落とし込むFuture Design LabでSCを構成しています。

上流の案件に閉じている場合はStrategy&で対応しますが、X-Value & Strategyの専門領域が絡むのであれば最初から連携するケースも少なくありません。また、中期経営計画や長期ビジョンを手掛ける時は、クライアントの業界が将来的にどう変容するかといったシナリオをFuture Design Labに描いてもらうこともあります。見えてきた未来像に向けた精緻な数字やロジックを、私たちが詰めるといった分担です。

戦略から実行までの強み 広大な領域で生かす

戦略に特化した他のコンサルティングファームとStrategy&の違いは、どのようなところにあるのでしょう。

いくつかありますが、一番大きな点は大企業の変革を戦略立案から実行までワンストップで支援できることでしょう。

戦略コンサルティングファームは上流を担う性質上、実行をうたっていてもできることは限られがちです。その点、私たちは策定した戦略に基づいてM&Aを手がけ、PMI(買収後の組織統合)を経て次のM&Aに取り掛かるといった流れを、実行を担う部隊と協力して進めることができます。

それだけではありません。PwC Japanグループの法務や税務、地政学といった他の専門性の高いメンバーとも協働しやすい環境が整っています。

このため、例えば米国の関税引き上げ問題も対応すべきテーマとなります。PwC税理士法人のメンバーと連携しながら各地の関税動向をにらみ、クライアントの事業を再構築するためのグランドデザインを私たちが描くのです。戦略立案だけではなく最終的に提供するソリューションまで含めて、幅広い業務に携われることは特筆すべき点でしょう。

戦略コンサルティングチームを抱える他の総合コンサルティングファームとの違いはいかがですか。

いずれも優秀な人材をそろえている組織ですし手掛ける領域も似ていると感じられるでしょうが、人材の質を高める社内の仕組みは大きく異なると自負しています。

Strategy&の前身であるブーズ・アンド・カンパニーがPwCグローバルネットワークの一員となったタイミングは、両者とも健全に成長している段階でした。実はこうしたフェーズで戦略コンサルティング組織を取り込んだケースはレアです。

おかげで100年にわたって培ってきた人材育成や人事評価のノウハウを、しっかりと受け継ぐことができました。その証拠にPwCコンサルティングの中において、Strategy&は独自の人事評価制度や報酬体系を維持しています。

優秀な人材を採用した後にどう育て上げるかという部分は、コンサルティングファームの実力を大きく左右します。この点において、私たちはアドバンテージを持っていると言えるでしょう。

PwCコンサルティングのStrategy&になってほぼ10年です。コンサルタント個人の立場としても、この組織の変遷はプラスに受け止めておられますか。

PwCコンサルティング合同会社 Strategy&リーダー 北川 友彦 氏

私たち戦略コンサルタントが一番憧れる言葉が何かご存じでしょうか。それは「トラステッドアドバイザー(信頼される相談相手)」です。ブーズ時代もクライアントから信頼はされていましたが、それはあくまで戦略の領域においてでした。仮にクライアントから関税の話を振られても「それは領域外なので」と返答せざるを得なかったでしょう。

しかし、今は違います。先ほども申し上げたように必要に応じて税務や地政学、M&Aなどのプロフェッショナルとスクラムを組んで、顧客のあらゆる課題に向き合うことができます。信頼してもらえる領域が広がり、厚みも増しました。コンフォートゾーンを抜けるのは大変なことではありますが、理想とする姿に近づけたと感じています。

複雑化するビジネス環境 ニーズ拡大受け陣容強化

Strategy&およびPwC Japanグループでは、チーム同士あるいはメンバー同士のコラボレーションが活発だとお伺いしています。

私を含むブーズのメンバーがPwCの一員となった際に驚いたのが、まさにそこでした。PwCは連携やコラボレーションを非常に重視しているのです。他のファームから移ってきた方も「組織の垣根が低い」と驚いていました。こればかりはカルチャーやネイチャーという以外の説明ができません。

PwCコンサルティングとStrategy&の連携で言えば、私たちに大きな期待を寄せてくれていることが背景にあると思います。もともとPwCコンサルティングは経理や財務、人事といったバックオフィスに強みを持っていましたが、フロントオフィスの領域で事業を変革していく部分は後手に回りがちでした。

そうした点をStrategy&はカバーすることができます。私たちの立場としても、経営層が入るような案件で声をかけてもらえればチャンスにつながるので、案件の大小を問わず可能な限り対応します。

すると、クライアントとの関係がより密なものになり、PwCコンサルティングとStrategy&の関係も強いものになっていきます。そうした積み重ねがコラボレーションを自然と生んでいるのかもしれません。

Strategy&が特に強みとしている領域やテーマをお教えください。

企業変革をワンストップで手掛ける点をこれまでも強みにしてきました。そのうえで注力しているのがAI、M&A、新規事業創出やビジネスモデル変革を中心とするイノベーション、そして企業価値向上です。これら4つのオファリング領域は特段珍しいものではありませんし、他のファームも手掛けています。ですが、ここで生きてくるのがやはり総合力です。

例えばクライアントがM&Aをやるべきかどうかを悩んでいる入口段階はStrategy&が対応し、デューデリジェンスや買収の実行、PMIといったフェーズではX-Value & StrategyやPwCアドバイザリー合同会社が存在感を発揮します。入り口から出口までの各段階に合わせて最適な専門家を用意し、最後まで伴走しきるからこそ確かな企業変革を実現できるのです。

一方、PwCコンサルティングとして特に注目している企業の担当チームにStrategy&のメンバーが参謀という立場で入って、真の経営課題を各社ごとに突き詰めるというミッションにも取り組み始めました。先ほどご説明したオファリング軸と交差する部分が多く、そうした領域でこそ課題解決のカギが見つかりやすいので、特に力を入れていきたいと考えています。

コンサルタント業界を取り巻く昨今のビジネス環境については、どう捉えていらっしゃいますか。

企業が直面する課題は複雑化し、変化も加速しています。そこに働き方改革が重なって、企業単独で対応することは極めて困難になりました。

こうした状況を受けて外部のコンサルタントに依頼するという流れは今後も続きますし、人手不足の時代においては不可逆的とも言えるでしょう。おかげさまでPwCコンサルティングとしても順調に成長しており、Strategy&はその中でも極めて高い利益率を誇っています。

PwCコンサルティング合同会社 Strategy&リーダー 北川 友彦 氏

ただ、約160人という現状の陣容では自分たちでクライアントを開拓しつつ、ファーム内から寄せられる案件をこなすのでほぼ手一杯です。現状の2~3割増にあたる200人規模になれば多少余裕が生まれますので、積極的に人材を採用したいと考えています。

AIの普及によって、コンサルタントのあり方や存在意義が問われる場面が増えました。どこでクライアントの役に立つかが、より重要になっています。

経営者が抱える漠然とした経営の不安や課題を明確に定義できるのは、AIではなく私たち「人」です。AIが導き出した結果をきちんと見定めて保証するという役割も大切でしょう。戦略立案の入り口と実行の部分で、今後もさらにコンサルタントの重要性が増すと考えています。

Strategy&を舞台に広がるスキルとキャリアパスの可能性

Strategy&でこれから共に働くメンバーとしてどのような人材を求めていますか。

クライアントと向き合う以上、一定の業界専門性は必要です。特に自動車やヘルスケア、エネルギーなどの領域では「うちの業界のことは知っているよね」という前提で話が進みますので。

とはいえ、Strategy&では強みとする業界を持ちつつ、様々なインダストリーの案件に携わっていただくことで若手人材を育成しています。コンサルタントとして活動の幅を広げたいという方には向いているのではないでしょうか。

スキルや専門性よりも重視しているのが、ゼロベースで物事を考えて答えを出せる力と気概です。ケース面接(与えられた課題に制限時間内で適切な対策を提案する)の際に予期しない指摘を受けても、自分なりのロジックを組み立てて対応できる人は高く評価しています。

大規模なファームであれば社内のどこかにベストプラクティスがあり、それを探すことが解決の近道になりがちです。ただ、160人程度のStrategy&で、そうした手法は通用しません。何もわからなくてもいいから、まずは自分で考えて仮説を立てることが求められます。非常にストレスがかかりますし忍耐力も必要ですが、そうしたことに果敢にチャレンジできる方にはぜひStrategy&の門を叩いて欲しいですね。

人材の育成方針や制度についてもお聞かせください。

一つはっきりと言えるのは、大量に採用してふるいにかけていくモデルではありません。これはブーズ時代からの文化と言えます。経験が浅い方は即戦力とはなかなかいきませんので、まずプロジェクトに入っていただき、先輩の下で手取り足取り教えてもらうようにしています。

また、「人材をきちんと育て上げる」という観点を突き詰めた評価制度も特徴です。具体的には、評価者としてアサインされた中立的な立場の者が、下位職階も含めて評価期間中に対象者と一緒に働いた人やメンターから幅広くヒアリングします。最終的に評価者がまとめた結果を、マネージャー以上が集まる会議で喧々諤々と議論するのです。

一連の流れを通して明らかになった対象者の強みや弱み、評価を本人にフィードバックしてネクストステップを明確化します。プロジェクトを通して強みを磨き、弱みを克服するサイクルを作ることで成長を加速させるのです。上司が一方的・主観的に評価を下すのではなく、徹底した360度評価によって人材をきちんと育て上げるノウハウを確立していると自負しています。

同業他社のコンサルタントがStrategy&に移籍してくることで得られるメリットはどのようなものが挙げられますか。

Strategy&では幅広い領域の仕事ができるということを繰り返し申し上げてきましたが、それが個人のスキルやキャリアパスの可能性を広げてくれると考えています。

例えば一般の戦略コンサルタントが事業会社に転職する場合、CSO(チーフ・ストラテジー・オフィサー)という立場を思い描きがちだと思います。その点、Strategy&でより広大な戦略領域を経験していれば、さらに高い視点が求められるポストにも対応できるでしょう。

仮に私が転職を考えた場合、単なる戦略コンサルタントではなくアカウント全体を担当するポジションだとか、あるいはコンサルティング会社の経営者という立場も選べると思います。戦略領域に特化して深みを増すキャリアはまったく否定しませんが、戦略にフォーカスしながらも自身の可能性を広げられるという意味でStrategy&は非常にいい舞台です。

Strategy&を転職の候補と考えている方にメッセージをいただけますか。

PwCコンサルティング合同会社 Strategy&リーダー 北川 友彦 氏

コンサルタントとして戦略だけを突き詰めても、やがて物足りなさを感じるでしょう。その点、Strategy&は自分たちの描いた戦略を社内の実行部隊に託して実現までつなげることができます。そこでクライアントから得られる感謝は、何物にも代えがたいものです。

すでにクライアントを持っているシニアに関して言うならば、手掛けられる戦略の幅がStrategy&では大きく広がります。自分だけでは両手を広げても対応できない課題を支援できるというのは、コンサルタントとして非常にエキサイティングなことです。ぜひStrategy&でそうしたやりがいを感じて欲しいですね。

プロフィール

写真:北川 友彦 氏

北川 友彦 氏

Strategy& リーダー
PwCコンサルティング合同会社 執行役員/パートナー

機械製造業や部品・素材などの産業財分野を中心に、事業戦略、営業・マーケティング戦略、組織・オペレーション改革などのテーマについて、多様なコンサルティング経験を有する。
また、バンコクオフィスでの勤務経験も有し、東南アジアにおける日本企業の進出・拡大のサポートを積極的に行っている。

Job Listingsこの企業の求人一覧

Free
Consultation

10年以上の経験を持つ業界専任のコンサルタントが
あなたの転職活動に伴走します マネージャ~シニアクラスまでハイレイヤーの業界内転職支援に豊富な実績がございます。
将来的なポストコンサル転職まで視野に入れた中長期のキャリア相談も歓迎いたします。

登録無料転職相談に申し込む

転職支援で受けられること

  • 業界トレンド・最新情報の提供
  • 非公開求人の紹介
  • 年収やタイトル等の条件交渉
  • 業界内でのコネクション作り支援
  • 入社後のフォローアップ