注目ファームの現職コンサルタントインタビュー デロイトトーマツコンサルティング合同会社 執行役員 パートナー / モニター デロイト ジャパン リーダー 中村 真司 氏 (2025.5)

デロイトトーマツコンサルティング合同会社

世界有数のプロフェッショナルファームであるデロイト トーマツ グループの日本におけるコンサルティングファーム、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社(以下、DTC)。2013年にマイケル・ポーター氏らが設立したモニターグループをそのネットワークの一員とし、「モニター デロイト」のブランド名のもとで戦略コンサルティングサービスを提供している。日本でも2018年からモニター デロイトが本格始動。立ち上げ当時から携わり、現在は日本におけるリーダーとしてモニター デロイト ジャパンを率いる中村 真司氏に話を聞いた。

まずはご自身のご経歴と、現在の役職について教えてください。

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大学卒業後から現在に至るまで、ベイン・アンド・カンパニー、旧モニターグループ、A.T.カーニーといった複数の戦略コンサルティングファームを経験してきました。前職までは、特定の業界の中でコンサルティング業務を行っていたのですが、経験を積む中で、私自身が獲得してきた経営戦略の考え方は他の業界にも応用できるという思いから、それが叶えられる場として、2018年9月にDTCに入社しました。モニター デロイトの日本での立ち上げから参画し、現在はリーダーを務めています。

モニター デロイトはDTCの戦略コンサルティング部門であるストラテジー・ユニットが母体となっていますが、いわゆる組織名を指すのではなく、あくまでブランド名です。他の部門、例えばM&Aユニットやインダストリー側に所属しているメンバーの中にも、モニター デロイトのブランドを背負って活動している人がいます。

モニター デロイトの強みや、他社との差別化ポイントはどこにあるのでしょう。

他の戦略コンサルティングファームでは、基本的にはインダストリーごとの組織となっており、シニアになるにつれ、何れかの業界における専門家としてキャリアを形成するのが一般的です。

対して、モニター デロイトの最大の特長は、インダストリーを軸にした知見だけではなく、オファリング(独自のサービスやコンサルティング手法)ベースでクライアントを支援できるところにあります。例えば、私自身、前職では主に消費財領域で仕事をしていましたが、現在はそれに限らず、家電、化学メーカー、ホテル、地方銀行など、さまざまなインダストリーに関わっています。

もともと、旧モニターグループはアジェンダドリブンの組織文化を持つ戦略コンサルティングファームでした。インダストリー単位ではなく、さまざまな経営アジェンダによるオファリングを中心に事業を展開してきた歴史があり、モニター デロイトもその流れを引き継いでいます。

加えて、DTCの素晴らしいところは、さまざまなオファリングの知見やインダストリーに対する知見を持つプロフェッショナルが多数おり、彼らの知見を自由に使いながら、戦略アジェンダに取り組めるという点ですね。戦略コンサルティングファーム時代は、すごく勉強してキャッチアップしていました。しかし、数十年その業界や専門分野に携わっている人には絶対に叶わない。そういったプロフェッショナルな人材がDTCやデロイト トーマツ グループ内には多数います。私は戦略の専門家であって、例えば半導体製造装置や太陽電池の専門家になる必要はないんです。

さらに、デロイトには世界に約45万人におよぶグローバルネットワークがあり、世界中の類似ケースや知見がいつでも手に入ることも強みです。

モニター デロイト ジャパンでは、サステナビリティやCSV(Creating Shared Value)領域に力を入れてきた背景がありますね。

モニター デロイト ジャパンを立ち上げた当初は、リーダーの1人がサステナビリティやCSVに強みを持っていたこともあり、そういったブランディングをしてきた背景があります。今ももちろん継続しています。

ただ、昨今はそれだけでなく、いわゆる全社の経営戦略や事業戦略、海外進出やマーケティング、新規事業戦略などといったオファリングに力を入れるようになってきています。成長戦略や新規事業戦略を描く上では、サステナビリティやCSVを知らずして語ることはできませんが、やはり「戦略との掛け合わせ」でこそ効果を発揮する、という考え方ですね。

DTCの中にはサステナビリティユニットという組織もありますから、サステナビリティ領域におけるテクニカルなことはそちらが担当していて、私たちはどちらかというと、戦略の中でのサステナビリティや、戦略の中でのCSVを語る、といった役割分担になってきています。

モニター デロイトが果たしている役割や、存在意義はどのようなものですか。

先ほど申し上げたモニター デロイトの強みとも連動しますが、私たちはストラテジストですから、戦略の専門家として価値を出すことが最大のミッションです。戦略に関わる部分をコントロールすることで、インダストリーの専門家やオファリングの専門家とチームを組んだときに、全体の付加価値が最大化する状態を目指しています。

例えば、インダストリーのメンバーから見れば、モニター デロイトと組むことによって戦略の専門的知見を担保し、彼らは彼らの仕事に注力できる、というメリットを感じてもらえているのではないでしょうか。「戦略の部分はモニター デロイトに任せておけばまず間違いない」、「自分たちだけでやるより、顧客に対して付加価値の高いデリバリーができる」と認識してもらえるようになってきたと感じています。

今、モニター デロイトとして力を入れているアジェンダについて教えてください。

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特に力を入れているのは、投資ファンドとの案件です。DTCに入社後の2020年、投資ファンドの投資先ソーシングをサポートするビジネスを立ち上げました。投資候補先のさまざまな企業の経営者やオーナーに対する提案内容のクオリティを上げたいという、投資ファンドのニーズに応えるサービスです。

DTCにはあらゆるインダストリーの専門家が何百人といます。そうした多様な業界の知見を生かして、ファンドがアプローチしたい業界のことや会社のことをリサーチし、成長戦略の立案をサポートするのです。これを行うためにはあらゆるインダストリーについての知識や経験が必要ですから、なかなか他の戦略コンサルティングファームでは難しいことかもしれません。

モニター デロイトとしても投資ファンドと組むことで新しい業界のことを学べるし、あるいは私たち自身が過去に経験してきた業界の知見がそのまま生きることも多く、大きな相乗効果を感じられる状態になっています。

また、案件のソーシングから関わっていると、投資検討時のビジネスDDや投資実行後のバリューアップのプロセスに携わることも多く、投資ファンド向けのEnd to Endのサービスが提供できる体制を整備しています。この取り組みは今後も拡大していく予定です。

今後のモニター デロイトの採用方針や、候補者に求めるものについて教えてください。

モニター デロイトが高付加価値ブランドとして認知されるようにアクセルを踏んでいる状態なので、人材については積極的に採用していきたいというのが基本方針です。中でも、インダストリーを超えて経営アジェンダに関心を持ち、自分の専門性を強化したいという思いを持っている方は特にフィットすると思います。

必要なスキルで言えば、基本的なコンサルティングスキルや、ロジカルシンキングができること、数字に強いといった一般的なものは備えていてほしいですが、コンサルティングファーム出身者だけでなく、事業会社で事業企画や経営企画などの経験をしてこられた方も適性があると思います。英語を使って海外で事業を立ち上げた経験があるなどの要素も、ポジティブに捉えています。

特に、「自分なりのアジェンダを持って、社会に貢献したい」「日本をこういう風によくしていきたい」といったアスピレーションがある人がいいですね。さまざまなインダストリーを横断しながら、多様なアジェンダで仕事をするので、何にでもトライすることをいとわない人、それを楽しめる人にはぴったりです。

入社後は、どのようにキャリアパスを描いていくのでしょうか。

非管理職で入社された場合は、入社後は多種多様なアジェンダ×インダストリーを経験できる環境があります。その中で、「自分はここにフォーカスしていきたい」というテーマを追求してもらいたいです。

また、モニター デロイトの母体はストラテジー・ユニットですが、キャリアを重ねていく中でもしインダストリーに特化したいということになったら、モニター デロイトのブランドを背負ったままで別のユニットに異動することも可能です。

やりたいことが入社した後に見つかる場合も、変わっていくことも多々あるでしょう。DTCには、本人がやりたいことを重視するカルチャーがあるので、アサインメントにあたっても、本人の希望を一人一人聞いて、それに合わせて行うことを常に意識しています。ですから、意思をもって何かをやりたい、という人であれば、さまざまな道が開けると思います。

最後に、採用候補者へのアドバイス、メッセージをお願いします。

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私自身の経験から、間違いない事実として言えるのは、若いうちはさまざまな仕事にどんどんチャレンジしていくのがいい、ということです。「なぜこんなことをやらなければならないのか」「なんだかつまらないな」と思っていたことでも、後で振り返ると、必ず自分のキャリアにプラスになるはずです。

私は過去在籍していた戦略コンサルティングファームでコスト削減に向き合った経験がありますが、そのときの知識と経験があるからこそ、今の仕事で経営者に向けて収益構造やコスト構造改革の話ができるのです。戦略コンサルタントは、経営者に向き合い、アドバイスをしたり、意思決定をサポートしたりする役割を担います。ですから、経営者が知っていることは何でも知っておく必要があるんです。

どんなことでもきっと自分の将来の糧になるんだと考えてトライしてみてください。それが自分の幅を広げることにもつながるし、あるいは、本当にやりたいことに出会えるかもしれません。

プロフィール

写真:中村 真司 氏

中村 真司 氏
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
執行役員 パートナー / モニター デロイト ジャパン リーダー

ベイン&カンパニー、モニターグループ、A.T. カーニー等を経て現職。消費財、小売、家電、金融、ヘルスケア領域、総合商社、PEファンドなど幅広い業界のクライアントに対して25年以上のコンサルティング経験。東京大学経済学部卒、カリフォルニア大学バークレー校ハース経営大学院MBA

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