プライベートエクイティ最前線バイアウトファンドの採用を担当してみてわかった3つのこと(財務モデル編)

今回も、引き続きバイアウトファンドの採用をテーマに書いていきます。コラム「バイアウトファンドに向いている人3[必要不可欠なハードスキル]」では、ファンドマネージャーとして働く際、ファイナンスの知識は最重要と書きました。そのため、ファンドによっては、採用プロセスの一環として、財務モデルのテストを実施するファンドがあります。

テストの内容はファンドごとに異なるため、一概に言えませんが、基本的にはLBOモデルを理解しているか試すテストになるかと思います。LBOモデルは、コラム「バイアウトファンドとは」で書いた株式価値の向上の要素となる利益成長、マルチプルアービトラージ、レバレッジ効果を定量的に把握するために必要となります。これらの要素がどのように変化すると、株式価値が変化し、どのようにリターンが上がるのか、つながりを把握しておくことが重要です。

私が知っている限り、採用プロセスでモデルテストを実施する場合、評価を行うのはモデリングが得意なファンドマネージャーになります。そのファンドマネージャーに対して、その場で取り繕おうとしても難しいです。そのため、LBOモデルに不安がある人は、事前に練習しておくと良いでしょう。

ちなみに、LBOモデルを勉強するために読んだ書籍としては、以下のようなものがあります。採用プロセスにモデルテストがなかったとしても、ファンドに入社後に必要なスキルとなりますので(コラム「バイアウトファンドでの若手の仕事」を参照)、LBOモデルに不安がある人は勉強しておくことを強く勧めます。

Investment Banking: Valuation, Leveraged Buyouts, and Mergers & Acquisitions

M&Aファイナンス

[著者]笹山幸嗣氏/村岡 香奈子氏

[出版社]金融財政事情研究会

[発売日]2008年7月

Investment Banking: Valuation, Leveraged Buyouts, and Mergers & Acquisitions

Investment Banking: Valuation, Leveraged Buyouts, and Mergers & Acquisitions

[著者]Joshua Rosenbaum氏/Joshua Pearl氏

[発売日]2015年

また、ファンド側が採用したい人物像を把握しておくのはとても重要です。仮に候補者の方が、完璧に事前準備や質問に対する回答を用意し、面接に臨んでいたとしても、ファンド側の採用したい人物像から外れている場合、残念ながら見送られる結果になると思います。

ファンド側の採用したい人物像を例示すると、
●「財務モデルが得意な人」(ハードスキル重視)
●「20代」(メンバーの年齢構成重視)
●「戦略コンサルティングファーム出身者」(バックグラウンド重視)

というようなものが挙げられます。

このような事態にならないためにも、ファンドの採用したい人物像を把握しているエージェント(キャリアインキュベーションの佐竹さん)に相談し、情報収集することが重要です。

以上を踏まえ、バイアウトファンドの採用についてまとめていきたいと思います。
採用される結果を導くには、応募する(面接を受ける)ファンドのことを調べ尽くし、自身の考えが100%伝わるように準備するのが一番大事だと思います。

面接官にしてみれば、自分のファンドをよく調べてきた候補者を悪く思う人はいません。過去に採用された人材の中には、投資先のバリューアップシナリオを考えてきた人もいました。このような人は、印象に残りますし、何しろ自分たちのファンドに入社したいという熱意が伝わってきます。

面接官が候補者の考えを理解できていないのに、次のプロセスに進ませる判断をすることはありません。面接を受ける前に、友人など身近な人に相談して自身の主張が十分伝わる表現になっているのか確認すると良いでしょう。

このように候補者が行う一連の作業は、ファンドマネージャーが投資候補先と面談する際と非常によく似ています(コラム「バイアウトファンドでの若手の仕事」を参照)。投資候補先を調べて尽くして、自分たちの提案がオーナーに100%伝わるように表現を工夫することはまさしくファンドマネージャーが行うことです。

ファンド側からすると、候補者の面接に対する準備の姿勢が、候補者が入社することになった際の投資検討時の働き方を想像するための一助になります。候補者には、このことを念頭に置きながら、面接を受けて頂ければうれしいです。

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