プロ経営者インタビュー 横濱 潤 氏 武州製薬株式会社 代表取締役社長 兼 CEO (2016.8)

武州製薬株式会社  代表取締役社長 兼 CEO  横濱 潤 氏

プロ経営者インタビュー

横濱 潤 氏

大手外資系製薬企業の工場として日本で事業を開始した後、1998年に専業CMO(医薬品製造受託機関)へと転換した武州製薬は、
順調に業績を伸ばし、2010年には資本独立も達成。
10ヵ国のGMP(医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準)をクリアして、グローバル市場への対応も固めながら成長を続けている。そして2016年、成長と変革を加速するべく社長兼CEOに就任したのが横濱潤氏だ。
ボストン コンサルティング グループやファーストリテイリングなどで高い実績を築き上げてきた横濱氏だが、未経験の製薬業界でいかなるチャレンジを実行しようとしているのだろうか?
いつもの20の質問を通じ、経営者としてのこだわりやビジョンを語ってもらった。

横濱 潤 氏
武州製薬株式会社
代表取締役社長 兼 CEO
http://www.bushu-seiyaku.co.jp/index.html

1963年、北海道生まれ。東京大学経済学部を卒業後、北海道拓殖銀行に入行。法人営業等に従事した後、1991〜93年に米国シカゴ大学経営大学院へ留学。MBA取得後、ニューヨーク支店勤務等を経て、1998年よりボストン コンサルティング グループ ジャパン。コンシューマーグッズ、ケミカルなどを中心に幅広い業界の経営変革案件に携わり、パートナーに就任。2009年、ファーストリテイリングに転じると、同社グループの業務再編、HRマネジメント等を経て渡仏。フランス子会社の経営再建を担った。そして2015年、武州製薬へ顧問として参画し、翌2016年4月に同社代表取締役社長兼CEOに就任した。


※現在は退任されています。

[1]自己紹介をお願いします

学生時代の私は、金融業界大手に多数の人材を輩出してきた有名なゼミに入っていました。先輩や同僚の多くは、当たり前のように日銀や興銀へ巣立っていったのですが、当時の私には、すんなり銀行員になることへの抵抗感があり「金融の世界へ行くにしても、ありきたりではない、何か面白いことができそうなところが良いなぁ」という気持ちでいました。

そんな私にとって魅力的に映ったのが1980年代末の北海道拓殖銀行でした。ローカルをベースにした金融機関でありながら、ビジネスの矛先をグローバルへも発展させようとしているユニークさに興味が湧きました。私が札幌出身だったこともあって、迷うことなく入行を決めました。

入行してから4年ほどは東京の日本橋で法人営業等の仕事をしていましたが、ビジネススクールへの派遣留学試験にパスしたことで、シカゴへ留学するチャンスを得ました。MBA取得後はそのまま米国に残り、ニューヨーク支店などで日本企業向けの案件や、現地企業への融資ディール、シンジケーションのアナリスト業務などを経験することができたのですが、銀行本体の経営が急速に悪化したことで帰国。結局は1998年に経営破綻となりました。

その後、私はボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)に入社したのですが、きっかけをくれたのはシカゴのビジネススクールで先輩だった重竹尚基さん(現BCGシニア・パートナー&マネージング・ディレクター)です。拓銀が破綻した旨を伝えると、「うちを受けてみればいい」と言ってくださいました。

そうしてコンサルタントとなってからは、多様な業界の経営戦略に関わる案件に多数携わっていきました。1990〜2000年代当時のBCGは、重竹さんだけでなく今村英明さん(BCG元日本代表。現信州大学大学院教授)や御立尚資さん(BCG元日本代表。現楽天取締役)、杉田浩章さん(現BCG日本代表)など、そうそうたるメンバーが第一線で活躍していて、厳しい中にも大いに成長できる環境のもとで経営についての研鑽を積んでいくことができました。

その過程において、心のどこかに「いつかはコンサルタントを辞めて、自ら実業を」という思いが芽生えてはいましたが、気がつけばパートナーに就任し、3年ほどが経過していました。そんなときにお声をかけてくださったのがファーストリテイリングです。2000年代後半に入って業務全般の再編成を急いでいた同社で、柳井正さんのもとで変革メンバーの一員として動いてくれないか、という打診です。私はすでに45歳になろうとしていましたが、非常に魅力的なこのオファーを受ける格好で転職を決めました。

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入社して間もなく、柳井さんから直々に「ヒトと組織を見てくれないか」と言われ、以後、HR分野に軸足を置いてグループ内の再構築を担っていく立場となりました。北海道拓殖銀行時代の終わり頃には組合の役員を務めましたし、BCGでも採用には関わっていたものの、人材・組織マネジメント領域全般に精通していたわけではありません。ですから勉強すべき事柄は山積でしたが、その甲斐もあって経営をヒトや組織の視点で捉えていく力を養うことができました。

グループ内にはグローバルな拠点や子会社もあります。それらの経営および人事にも携わりました。特にフランスについては私自身が向こうに2年以上駐在して、現地の2つの系列企業の経営を土台作りから手がけていきました。武州製薬からお話をもらったのは、ファーストリテイリングでこれら一連の取り組みがひと段落して帰国し、1年ほどが経過した頃でした。

柳井さんという力強く公正無比なリーダーのもとで、5年以上に渡り本物の経営というものを学んできた私にとって、卒業するのであれば今、というタイミングでもありました。製薬業界は、BCG時代にもほとんど触れたことのない領域でしたが、むしろ「だからこそチャレンジする意味がある」と感じました。

ファーストリテイリングと同じアパレルや製造小売の企業からのお話ならば、転職はしなかったと思います。同じフィールドで戦うならば、尊敬する柳井さんのもとで働く方がいい。そうではなく、未知のフィールドで戦えるのならば、自らが経営者となる道を選んでみようと考えたのです。

これから大きな変化が訪れるインダストリーに行って、そこでグローバル化も伴うサプライチェーンの変革に携わっていくのは非常に面白そうでしたし、武州製薬には急成長のベンチャー企業的側面もありますが、しっかりと地道に実績を積み上げてきた企業。その経営の再構築を任せてもらえるという点でも強烈に魅力を覚え、転職を決めました。2015年の暮れに顧問という立場で入社して経営のサポートを行い、2016年に入ってから現職に就任しました。

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