プロ経営者インタビュー 郡 信一郎 氏 デル株式会社 代表取締役社長 (2014.3)

デル株式会社 代表取締役社長 郡 信一郎 氏

プロ経営者インタビュー

郡 信一郎 氏

注文生産(BTO)の直販という画期的ビジネスモデルによって世界のパソコン市場を席巻し、法人向け市場においてもスピードや価格、サービスクオリティなどの競争力で他を圧倒。
PC、サーバ等ハードウエア販売領域で今なお世界の巨人であり続けるデル。このリーディングカンパニーが近年、経営において大きなシフトチェンジを示している。「IT ソリューション・プロバイダーへの進化」がそれだ。
郡氏のデル入社は2004年。まさに変革への過渡期にさしかかろうという時期から、同社の経営に携わり続け、7年後の2011年に社長に就任した人物。
世界を代表する企業の日本法人でトップに就任したプロ経営者であり、その変革の推進役を担っている郡氏は、はたしてどのような力をふるっているのか?どんな想いをもとに挑戦を続けているのか?

郡 信一郎 氏
デル株式会社 代表取締役社長
http://www.dell.com

1969年、東京生まれ。米国タフツ大学工学部を卒業後、横河メディカルシステム(現GEヘルスケア)に入社。機械設計エンジニアを皮切りに様々な分野を経て、マーケティング部門等で成果を上げた。その後、ハーバード・ビジネス・スクールにてMBA取得。1998年、ブーズ・アレン・アンド・ハミルトン(現ブーズ・アンド・カンパニー)に入社し、多様な業界を相手にコンサルティングを行った。2000年代に突入するといわゆる「Eビジネス」が隆盛となり、SIPS(Strategic Internet Professional Service)における2大勢力が急成長を果たしたが、その1社であるサイエントに入社。同社で新しいビジネスの創成を担った後の2004年、製品マーケティング本部長としてデルに入社。その後、執行役員、営業統括本部長などを歴任し、2011年7月より現職。

(※現在は退任されています)

[1]自己紹介をお願いします。

私は13歳の頃からアメリカで生活をしていました。父の仕事の都合上そうなったわけですが、大学を卒業するにあたって「このままアメリカの会社に入ったら、自分はアメリカ人になってしまうだろうな」という気持ちもあり、「じゃあ就職は日本の企業にしよう」と決めました。

今振り返ってみると、それほど深い理由や理想があっての就職ではなかった気がします。1990年代の初めでしたから、まだバブルの余韻のあった日本の新卒就職戦線は売り手市場。複数の企業を受け、内定をいただいた中から横河メディカルシステム(現GEヘルスケア。以下GE)への入社を決めました。

入社後はエンジニアとしてキャリアをスタートしたのですが、2年目にはGEのリーダー育成プログラムに抜擢していただき、半年ごとに異なる部門を経験していく機会を得ました。このとき日本市場におけるマーケティングに携わり、興味を持ったことから、この分野を担当することになりました。

そうして入社から約6年を経た頃、ハーバードへの留学を決めたのですが、もともと大学時代から「いつかは修士号を取得したい」という気持ちがありましたし、私自身の成長にも仕事にも役立つだろうということからMBA取得を目指したわけです。

ただし、ちょうどそのころ、GEグループ全体に大きな変化が訪れようとしていました。いわゆるメーカーとしての経営の成り立ちから、サービスを主軸とする企業グループへと進化していこう、という動きが出ていたのです。そこで、ビジネススクールを出た後、すぐにGEに戻るのではなく、サービスに特化したビジネスを実現できる力を養うべく、ブーズ・アレン・アンド・ハミルトン(現ブーズ・アンド・カンパニー。以下、ブーズ)のサンフランシスコ・オフィスへ入社することにしました。

在籍したのは約2年ほどですが、IT企業をはじめ様々な業界企業のコンサルティング事案を次々に経験し、非常に密度の濃い時間を過ごせたことが、後の私に大いに役立っています。

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その後、世の中ではドットコム企業が急成長を果たし、Eビジネスの可能性が常に話題の中心となる時代が訪れました。とりわけ、サイエント、サピエントという2つの企業がSIPSという枠組みの中で躍進をしていくことになるのですが、縁あって私はこのサイエントに入社をすることになりました。

それまでのGEやブーズは、歴史や規模を備えたグローバル企業でしたが、サイエントは生まれて間もない会社。しかも、世界をリードするような新しいビジネスを創り出していく役目を担っていましたから、過去に経験したことのないような刺激的な日々を過ごすことができました。

その後、私は2004年に日本のデルに入社するわけですが、この時にはいろいろと考えました。実はサイエントにおいても、私自身は「社内にいる経営コンサル」的な立ち位置でした。ブーズに引き続き、サイエントでもコンサルタント的な職務を経験し、そこで成果を上げていく力を養うことができた。もちろん満足はしていましたが「ではこの先、自分はどうありたいのか?」を自問自答してみてはっきりしました。「優秀なコンサルタントとなって精進していく」ことが自分のキャリア形成の目的ではない。では、どういう場でキャリアを重ねていくのか?

そう考えた結果、「やはり自分には製造業、メーカー系の企業が合っている」という結論に到達。いずれはゼネラル・マネージャーとなって、これまで蓄積してきた力を活用したい、という目標も見えていたため、「製品マーケティングに携わりたい」という希望をかなえることのできる企業を探したのです。そうして出会ったのがデルでした。

希望通り製品マーケティング本部長として入社した後、この会社における営業部門の役割の重さにも気づき、その後は営業関連の分野でも本部長を経験。劇的に変化し続けるIT市場と向き合い続けてきました。そんな中、デル自体も変換期を迎え、ハードウエアの販売だけでなく、ソリューションやサービスを提供する企業として進化していく道を模索するようになっていったのです。

2011年に私は代表取締役社長に就任をしましたが、これは前任者のジム・メリットが米国へ戻って本社の経営に専念することになり、彼が私を後任に指名してくれたことで実現したことでした。自分としては、ある意味、「タイミングのなせるわざ」だったと捉えています。

もちろん、そうはいってもトップ就任の話を私は喜んで受け止めました。世界のデルが大きな変換期を迎えたこの時期に、日本市場での変革の成功を任せてもらえる。こんなチャレンジは他にはありません。私自身の成長も一段と加速することができる。責任もまた大きくなりますが、身の引き締まる思いとともに、前向きな気持ちで就任して、今に至っているのです。

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