プロ経営者インタビュー 大竹 秀彦 氏 株式会社カンター・ジャパン 取締役社長兼COO (2013.9)

プロ経営者インタビュー

大竹 秀彦 氏

[11]業界のプロとしての知見はいかがでしょう? やはり必要だとお考えですか?

必要ではないと思います。私は、コンサルティング、広告、特許関連、医薬・化粧品、市場調査というように、まったく違う業界を渡り歩いてきましたが、「その業界に数十年いたわけではないから困った」というような状況に陥ったことはありません。もちろん、現場に出て目の前にある仕事を上手にスピーディに動かしていく立場だったなら、業界の知見を蓄えている人のほうが上手でしょう。

しかし、「経営上の判断をしていく」という仕事はそれとは別物です。実際、カンター・ジャパンに来て2年しか経っていない私ですけれども、市場調査の仕事を30年やっているような人と比べたとしても、経営判断においては正しく仕事が出来る自信を持っています。

[12]過去に体験した最大の試練やストレッチされたご経験について教えてください。

JWTにいた時、当初は若手中心の10人規模のチームをマネジメントしていたのが、途中から自分より年上のベテランもいる30人規模のチームを任されることになりました。自分よりも20歳も上の部下がいるような環境は初めてでした。そういう人たちに聞いて確かめたわけではありませんけれど、きっと敵対心のようなものを若い上司である私に抱いていたはずです。

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「さて、どうやって良い人間関係を作ればいいだろう」と考えました。飲みに行ったりして、積極的にコミュニケートするようにしましたが、それだけでなく「この若い上司のもとで仕事を頑張ると、自分たちにもメリットがあるんだ」と確信できる環境さえ整えれば、信頼関係を作れると考えるようになったんです。

そこで、「この案件がとれたら、皆で旅行に行けます」というような報酬を準備してモチベーションを上げていきました。私の上の人間からすれば、「おいおい勝手にご褒美を決めるなよ」というところでしょうが(笑)、当時のJWTは成果を出して、それを上手にアピールすることさえできれば、少々のことは認めてくれる経営者がいましたので、うまく掛け合ってこの部員への約束を本当に実現していったんです。

[13]経営者を志す者には、どのような努力や学びが必要でしょうか?

2つあると思います。1つは「意識して何かを自分で決定していく経験」を積み重ね、その中で身を以て学んでいくことです。もう1つは、コミュニケーションを通じて幅広い人とつながり、そうして作り上げたネットワークも活用しながら「自分のやりたいことを推進する」ことです。ビジネス書などを読んで勉強をすることにも意味はあるかもしれませんが、経営者を志すならば、この2つのように行動や経験から学びを得ていくプロセスがとても大切になっていくと思います。

[14]今までに影響を受けた先輩や師匠といえるかたはいらっしゃいますか?

これも2人というか2パターン挙げます。1人は、先にお話しした中学時代の国語の先生。この先生と出会っていなければ、今とは全然違う人生になっていたかもしれません。もう1つは個人ではなく、ベインの頃に出会った中小企業の社長の皆さんです。若い時に、本物の経営者と1対1でお話ができたこと、先ほど説明したような多くの学びをいただいたことで、経営者になる道を本気で志すことができました。

[15]キャリアの成功とは「計画的に努力して成し遂げるもの」でしょうか?

それとも、「偶然や人との出会いなど、運が影響するもの」だとお思いですか?

両方だと思いますが、計画を起こさないところにチャンスは来ないと思っています。「運や偶然は自分で創るべきもの」と私は考えています。創るために必要なのが意志。「こうありたい」「こうしたい」「こうなりたい」があって、計画が立ち、それを達成するために努力が必要になる。運や偶然、チャンスというのはそういうプロセスの結果、生み出されるものだと思っています。

[16]起業することと、既存の会社の経営者になることの違いは、何なのだと思いますか?

どちらも面白い。それが私の答えです。MPOの時などは、最初、私一人でした。不安なんてありません、根拠なき自信を持つ楽観人間ですから(笑)。「今日は何をしよう」とか「これから誰と一緒にやろう」と考え、実行していくのがとても楽しかったんです。

[17]特別な信条やモットー、哲学などをお持ちですか?

「If you can dream it, You can do it.」です。ウォルト・ディズニーさんの言葉だそうですが、「実現できる」と信じられないのならば、それは夢じゃない。本気で夢見たものならば、絶対に実現することが出来る、という考え方を私も大事にしています。

[18]経営者となった今、何を成し遂げたいとお考えでしょうか?

日本発で世界に誇れるものを創りたい。お客様にもそうなってほしい。それを一緒に実現したい。

[19]現在のポジションを去る時、どういう経営者として記憶されたいですか?

自分の名前など会社に残らなくていいと思っています。ただ、私の経営のもとで働いた社員の皆の心の中に「あの時は楽しかったなあ」と記憶してもらえたら幸せです。

[20]20代、30代のビジネスパーソンにメッセージをお願いします。

経営は楽しいです。楽しいから私はやっているんです。皆さんもぜひやってください。経験すればわかるはずですけれども、「経営者」と「経営者の1つ下の地位」とでは、全然違う。スタッフと管理職の間にある違いよりも、ずっとずっと違います。そして、経営者には誰でもなれます。必要なのは意志。本気で夢だと思うならば、必ずなれます。そして、もしも経営者になったなら、どうか自分のスタイルというのを創ってください。自分ならではの個性あるスタイルで、自分だけの成功を目指してください。

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