プロ経営者インタビュー 須原 清貴 氏 キンコーズ・ジャパン株式会社 代表取締役社長 (2013.9)

プロ経営者インタビュー

須原 清貴 氏

[12]過去に体験した最大の試練やストレッチされたご経験について教えてください。

やはりGABAでの日々と、その後の挫折を味わった時期が最大の試練でした。しかし、何度も言うようですが、あの試練があったからこそ、ここキンコーズ・ジャパンで歯を食いしばることができたのです。

[13]経営者を志す者には、どのような努力や学びが必要でしょうか?

「経営者」はあくまでも会社の中にいくつもある機能・役割の1つに過ぎません。では、その「経営者の役割」を担ったスペシャリストになるために、どんな姿勢が必要かといえば、私は「継続する」ことだと考えています。

例えば当社の営業マンに私は「1日に5件の商談をすること」を義務付けています。さほど高いハードルのように見えないかもしれませんが、毎日5件の商談を成立させていくというのは、十分すぎるくらい高いハードルです。1日や2日、これを達成するのは容易かもしれませんが、とにかく毎日続けようとしたら、相当の努力とメンタリティが必要になるのです。それでも義務付けている理由は、継続こそが力になる。と確信しているからです。

[14]今までに影響を受けた先輩や師匠といえるかたはいらっしゃいますか?

2人います。1人は住友商事時代、米国に駐在した時の上司です。人間としても素晴らしいかたでしたし、仕事でも必ず結果を出していたかたでした。この上司に私は商売のイロハを教わったと思っています。特に「客をちゃんと見ろ」と幾度も言われ、おかげでこれが私の習慣として根付いています。

もう1人はCFOカレッジを一緒に立ち上げた落合稔さんです。このかたも独特のカリスマ性の持ち主で魅力的なかたでした。教わったのは経営のイロハ。財務諸表の見方など、経営における数字の意味というものを徹底的にたたき込んでいただきました。

[15]キャリアの成功とは「計画的に努力して成し遂げるもの」でしょうか?

それとも、「偶然や人との出会いなど、運が影響するもの」だとお思いですか?

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後者、つまり運が大きいと思います。ただし、運というものは前者、つまり努力がなければ巡ってこないと考えてもいます。さらに言えば、「どれだけ努力しようと、運が巡ってこない場合も大いにある」と考えています。「こんなにたくさん努力しているのに、俺は運に見放されている」などとふてくされていても、現実は変わりません(笑)。

努力は運を目当てにしてやるものではない、という理解はしておくべきでしょうね。それでも一心不乱に努力していれば、いつか運はやってくる、と私は信じています。

[16]起業することと、既存の会社の経営者になることの違いは、何なのだと思いますか?

CFOカレッジは嬉しいことにうまくいっていました。しかし、それでも実感したのは、既存の会社の経営を前任者から引き継ぐのとは全然違う、ということです。起業した直後には、雑用も含め、何から何まで自分でやらなければいけません。「良い意味でクレイジーじゃないとできないな」というのが起業だと考えています。

[17]特別な信条やモットー、哲学などをお持ちですか?

仏教の曹洞宗の教えにある3つの言葉を大切にしています。「一如(いちにょ)」「心身脱落(しんじんだつらく」「只管打坐(しかんだざ)」です。私の理解するところでは、「一如」とは「すべてのものと一体になりなさい。何事も受け容れなさい」という意味。そのためには「心身脱落」、つまり無心にならなければならず、そのためには「只管打坐」つまり、ひたすら座っていなさい、という教えが込められています。

住友商事時代に上司とぶつかり、一時、仕事から干されてしまったことがあり、禅寺に行った時に聞かされた言葉です。とても心に染みいって、以来、事あるごとにこれらの言葉を思い出し、噛みしめるようにしています。

[18]経営者となった今、何を成し遂げたいとお考えでしょうか?

2つめの質問への答えと同じです。キンコーズ・ジャパンの成功とコニカミノルタ・グループの成功。それが私の目標です。キンコーズ・ジャパンの社長を仰せつかった者なのですから、これ以上も以下もありません。

[19]現在のポジションを去る時、どういう経営者として記憶されたいですか?

これについても先の答えと同じです。私、須原個人について何か特殊な感慨を持ってもらいたい、というような期待や願望は持っていません。

[20]20代、30代のビジネスパーソンにメッセージをお願いします。

今、あなたの目の前にある環境をそのまま受け容れてください。そして、その環境に対して、自分が一点の曇りもなく100%の力を出し切っているかどうか自問自答してみましょう。プロフェッショナルとして認められるかどうか、望み通りのキャリアを築けるかどうか、というのは、自分ではなく周囲が評価して決めてくれること。雑念を振り払って、今の自分を見つめてほしいと思っています。

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