プロ経営者インタビュー 新井 健資 氏 株式会社カチタス 代表取締役社長 (2013.8)

プロ経営者インタビュー

新井 健資 氏

[11]業界のプロとしての知見はいかがでしょう? やはり必要だとお考えですか?

ないよりはあった方がいいと思います。私自身、リクルートで住宅に長年関わって、この業界についての知識や経験を得てきました。そういう下地を持っていることもあって、他の話よりもカチタスに来る話を選んだ面が多少ありますし、実際ここへ来てから、すぐに動くことが出来たのも、この下地があったおかげだと考えています。

ただし、あくまでも「あった方がいい」というだけで、経営者になるための必須条件ではないと思ってもいます。実際、まったく異なる業界から来て、経営者として成功しているかたはたくさんいますからね。

[12]過去に体験した最大の試練やストレッチされたご経験について教えてください。

試練はたくさん味わってきました。でも、最大の試練となると、リクルートで営業マネジャーになった時だと思います。営業力の強さで有名になるほどの企業ですし、独特の営業スタイルというのを持っている会社でしたから、それを知らない私には重いプレッシャーになりました。

住宅についても、新規事業を担当した経験があったとはいえ、長年この世界で生きてきたわけでもありません。ですから、マネジャーに就任してから2〜3ヵ月は、会議で皆が話している言葉の意味や内容さえよくわからない状態でした。ただし、私が担当していた注文住宅の営業は、きめ細かく地場のお店を掌握して束ねていくような仕事でした。こうなると、個人技に優れた経験豊富なスーパー営業マンの活躍の場というより、いかに戦略的に動いてターゲットを手に入れていくかが問われます。戦略性ならばベインで鍛えてきましたから、私はここを突破口にして難関を突破していきました。

もう1つ役だったのは三和銀行での経験でした。私の場合、コンサルティングしか経験していないのではなく、三和銀行時代の営業の仕事でいわゆる「どぶ板を踏む」ような地道な経験をしていたんです。足を使って汗をかくような仕事に戸惑いなく入っていけたことも、メンタル面で役立ちました。

[13]経営者を志す者には、どのような努力や学びが必要でしょうか?

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成長機会を逃さない。むしろ自分から取りに行く姿勢を持つこと。それによって、努力や学びを得るチャンスも手に入っていくと思います。私は日ごろから思っているのですが、どんな仕事をしていても、どんな立場であろうとも、必ず成長機会というのは目の前にある。なのに、それに気づかなかったり、敬遠していたりするケースは多いと思います。

例えば、とても小さな予算規模だけれども、新規事業を立ち上げるチャンスがあるのに気づいていないとか、あるいは収益責任を背負って任されるようなミッションがあるのに、責任を追及されるのがイヤで敬遠していたり。自分を高めるチャンスは、実はいくらでもあるんです。結局、勇気を持ってそういう機会を取りに行った者だけが、有意義な学びを手に入れていくのだと思います。

[14]今までに影響を受けた先輩や師匠といえるかたはいらっしゃいますか?

個人名を1人挙げるならば、最も影響を受けたかたは白石さんです。集団として最も強く影響を受けたのはリクルートです。

[15]キャリアの成功とは「計画的に努力して成し遂げるもの」でしょうか?

それとも、「偶然や人との出会いなど、運が影響するもの」だとお思いですか?

圧倒的に偶然や運だと思います。選挙に敗れた後も、ベインとの出会いも、リクルートへの入社が決まった経緯も、営業マネジャーになってからのことも、すべては運や偶然がもたらしたことです、人生は「まさかこうなるとは思わなかった」ということの連続だと思ってもいます。ただし、どんな運も偶然も、何もしなければ発生しないと考えてもいます。結局は運と偶然に左右されるのが人生だけれども、それを切り開いていくのは意志と努力。そう考えています。

[16]なぜ起業ではなかったのでしょうか?

起業とは、持てるもののすべてをなげうって取りかかるもの......というように私は捉えています。言い換えれば、それくらいの気持ちにさせるものを持っていないなら、やるべきではないということ。私は今のところ、そこまで思えるものと出会っていません。だから起業をしていないんです。見つけたらやるかもしれない。その可能性はある、ということになりますけれども、もともと私は誰かが試行錯誤しながら育てたものを「次の担い手」として引き継いで、育てていくような職務に非常にやりがいを感じているんです。

[17]特別な信条やモットー、哲学などをお持ちですか?

ありません。

[18]経営者となった今、何を成し遂げたいとお考えでしょうか?

経営者とは、「1人ではできないこと」を多くの人を束ねることで達成していく役割なのだと考えています。400人いたら、それを400人分の力にするのではなく、800人とか1000人分の力にしていく。つまり、起爆剤のような役割を私はカチタスで果たしていきたいと思っています。

[19]現在のポジションを去る時、どういう経営者として記憶されたいですか?

私がいた時代を振り返って、「あの時期がターニングポイントだったよね」と言ってくれる社員がいたら、とても嬉しいですね。

[20]20代、30代のビジネスパーソンにメッセージをお願いします。

私自身、なってみてあらためて実感したのが「経営者という役割、仕事は本当に面白い」です。おそらく今、皆さんが期待している以上に、「やってみて初めてわかる面白さ」が経営者という仕事は持っています。ですから、あきらめることなく是非チャレンジしてほしいと思います。

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