プロ経営者インタビュー 杉江 陸 氏 新生フィナンシャル株式会社 代表取締役社長兼CEO (2013.8)

[5]ご家族やご親戚に経営者はいらっしゃいますか?

両親を含め、血縁関係や身近な存在に経営者はいませんでした。

[6]ご自身の性格について教えてください。

ふだんニコニコしているせいか温厚だと思われがちですが、本当はせっかちで短気な性格です。「誰にも負けたくない。一番でありたい」という負けず嫌いではなく「さっさと片付けて次に取り掛かりたい」性分です。また、気に入らないことがあれば、怒りの感情をあらわにします。無意識にそうなっている部分もありますが、意識して感情を外に出しているところもあります。なんだかんだ言っても皆が私の反応を見ていると思うからです。

ただ、社会で揉まれるうちに達成欲とある種の正義感・正論の塊のような押しの強い人間に育っていましたが、徐々に普通の人間の弱い部分に寄り添いたいと考えるようになってきたのがここ4,5年の変化です。どうやれば現実社会の人の幸せの役に立てるのかと本気で考え始めている自分に気付きます。

[7]いつ「経営者になろう」と思われましたか?

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経営に対する強い関心は早くから芽生えていましたし、アクセンチュアでコンサルタントとしての経験をある程度積んだ30代半ば頃には、助言者としてプロとなるか、事業を主体的に推進するかについて自問自答を重ねました。しかし、本格的に「経営者になろう」と意識したのがいつなのかといえば、今のこの会社に入ってからです。お客様や仲間に揉まれる中で、「自分の責任で経営をしたい」という気持ちがどんどん高まっていきました。

前社長とは「よく議論をした」と、先ほどはきれいに言いましたが(笑)、時には互いに意見を譲らず口喧嘩みたいなことにもなっていました。もちろん、良い関係だったからそういうこともできたんですが、噛みついても正面から受け止めていただける相手を得て持論をぶつけているうちに、気がついたら社長になっていました。

[8]経営者に必要なメンタリティ、スキル、経験とは何でしょう?

経営とは、社員を預かるということです。一人ひとりの社員のみならず、彼らの家族の人生にひとかたならぬ影響を及ぼすのが社長という存在です。ですから、「普段は皆に全てを任せる、ただ最後は俺が必ずやりぬく」という度量は必要です。責任と正面から向き合う気持ちが求められます。思ったからには必ず叶えてみせる、という強い自信と、ちょっとした幸運も必要でしょう。そしてもう一つ、数字を見て、些細な変化の兆しに気づくことの出来る洞察力もまた必要だと考えます。つまり、一に優しさ、二に強さ、三に賢さだと思います。

[9]他に経営者に必要な資質や能力などありますか?

根の明るい社長のほうが社員は楽でしょうね。それから健康は必須条件だと思います。さらにスキルの面でいえば、数字には強くなっておいた方がいい。大学で情報科学を教えていた父が常日頃から私に言っていたのですが、「人が客観的にものを考える時によりどころとなるのは二つだけ。言語と数字だ」と。これには共感しました。経営者にもこの二つは非常に重要だと考えています。

[10]これらのスキルなどをどこで手に入れたのでしょうか?

まだ何一つ完全には手に入れていません。なにか一つの経験ですっと得られたものもありません。謙虚で継続的な学びが必要で、これからもずっと吸収し、向上しなければ、と考えています。

[11]業界のプロとしての知見はいかがでしょう? やはり必要だとお考えですか?

持っていた方がいい、とは思いますが、重要なのは経営の方法論を持っているかどうかです。例えば稲盛和夫さんは航空業界のプロだったわけではないけれども、日本航空の建て直しをやってのけました。それは稲盛さんがこれが経営だというものをお持ちだったからだと思うのです。

[12]過去に体験した最大の試練やストレッチされたご経験について教えてください。

最も辛かったのは、ここ数年で2度にわたり、社員の半数に早期退職制度によって会社を去っていただく決断を当時の社長に迫ったことです。そうしなければ当社は生きていけないことは明白でしたし、私が申し上げたタイミングも遅きに失するほどのものであったとは思います。しかし、1000人もの方々とそのご家族の生活を激変させたことの責任から逃れられるものではありません。必ずや残った仲間を幸せにしてみせる、という信念が毎日私を突き上げてきます。

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