現役戦略コンサルタントコラムファーム社内での部門異動を希望するコンサルがまずやるべきこと

はじめに

写真:ファーム社内での部門異動を希望するコンサルがまずやるべきこと

ここ数年の中途採用応募者の傾向として、以前の定番であった「戦略コンサルタントになりたい」「(システム領域ではなく)経営イシューに携わるコンサルタントになりたい」という企業内の意思決定レイヤーにおける上流を目指す動機より、「専門性を持ったコンサルタントになりたい」といったキャリア展望を持たれる方が増えてきている印象があります。

よくよく聞いてみると、「自分の興味分野で認知されたい」「好きな領域に携わる仕事がしたい」といったように、「自分らしく」や「承認欲求」といったものが混ざった意識が根底にあるようにも見受けられます。影響欲求が強い結果、 "癖の強い"コンサルタントが減ってきた業界のコンサルタント像の変化とも符合するのではないでしょうか。

今回テーマとなる「ファーム社内での部門移動」の動機も中途採用応募者の動機と同様に、現在の上司やチームの雰囲気が嫌だといった人間関係に起因するネガティブな意味合いを除くと、「こういった専門性を身につけたい」「こういうタイプのプロジェクトにアサインされたい(あるいは、もうこういったプロジェクトは嫌だ)」といったキャリア展望に基づく希望になると思います。

専門性を身につける意味とは

それでは、ここ数年でよく聞かれるようになった専門性とは何を指すのでしょうか。一般的なイメージは、特定業界(自動車、エネルギー、等)や特定機能(M&A、SCM、等)に関するに関する深い専門知見を有していることを、専門性を持つと表現しているかと思います。

しかし、コンサルタントの仕事は深い専門知見に基づく知識売りのみでは十分ではありません。「私の方がこの領域については詳しいです。だから起用してください」のみでは、クライアントとしては高額フィーの支払いを躊躇するかと思います。レポート調査会社が発刊する調査レポートの金額との比較感では、その価値の差異が見えにくいためです。

それよりもコンサルタントに期待されている価値は、クライアントのみでは解けないイシューを解くための考え方やリードをしてもらうことではないでしょうか。そうした場合、なぜ専門性を身につけたいと多くの方は考えるのでしょうか。改めて整理すると、ジュニアとシニアのコンサルタントでは身につけたい事情は異なると考えています。

ジュニアの場合、先に述べた自分らしさ、好きな領域に携わるといった動機に基づき、プロジェクトにアサインされやすくなるように身につけているのではないでしょうか。つまり、プロジェクトテーマに関する特有の用語理解や業界構造理解といったキャッチアップの時間がほぼいらなくなります。そのようなジュニアは、プロジェクトマネージャーからすると貴重な存在となり、アサインされやすくなります。

シニアの場合、ジュニアと共通する好きな領域での仕事をしたいという側以外に2つの意味合いがあります。1つ目は、専門性があるとクライアントから声が掛かりやすくなります。クライアントとしても、解けないイシューを解いてもらいたい時に、クライアントの所属業界に精通していないコンサルタントよりは知っている人に頼みたいと考えることが一般的です。

また、2つ目の理由は年齢による体力の衰えへの対応です。つまり、担当プロジェクトが色々なテーマにわたると、毎回、一定の学習が求められ、これが年齢と共に徐々に"しんどい"状態となります。その点、一定の専門領域を持つと、似たようなイシューを解く機会が増えることから、その学習の負担は減ることになります。意外かもしれませんが、コンサルタントも年齢には勝てません。

部門異動を叶えるためにやるべきこと

これまでの話を踏まえると、部門異動を叶えるためにやるべきことは具体化されてきたのではないでしょうか。基本は、「周りから分かるように意志を示す」ことかと思います。つまり、海外案件に入りたい場合は英会話学校に通っていると報告したり、該当分野についてのインサイトをまとめて社内で共有したりといったように、行動として周りに意思を占めることが大事になります。

また、最終的な部門異動の承認は上長同士の話し合いになります。そのため、異動先の上長やピアの同僚と仲良くなる行動が必要になります。つまり、プロジェクトのアサイン権限を持つ人に認知されることが重要です。ファーム内での話なので気軽に連絡を取ればよいと思います。但し、コンサルティング業界は、ファーム間での異動も頻繁な狭い業界であることから、異動時の"感情面でのこじれ"には配慮が必要になります。

最後に

大前提となりますが、アサインされるプロジェクトで一定の成果を出していることは必要です。コンサルティングファームは学校ではありません。いくら意思を示したり、仲良くなったりしたとしても、成果を出さないコンサルタントの希望は叶い難いのではないでしょうか。

一方、一定の成果を創出し続けている限り、柔軟に一人一人の要望にファームは極力応えてくれます。それは一人の優秀なコンサルタントの価値をファームは理解をしているためです。健全な貢献意識とキャリア展望を持つ方は、コンサルティングファームへのチャレンジをしてみてはいかがでしょうか。

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