現役戦略コンサルタントコラムとりあえず、なんとなくでコンサルになるのはやめたほうがいい理由

はじめに

「コンサルタントになっておくと、将来、一生懸命取り組みたいことが見つかった時に役に立つ」
「仮に見つからなかったとしても、業務スキルや働き方、人脈といった面でつぶしがきく」

といった趣旨の発言を、特に若い方からここ10年ほど聞く機会が増えてきたと感じています。「コンサルティング業界=怪しい、虚業、不信感がある」といった印象から、1つの認知された業界になりつつあるともいえる為、それ自体は悪いことではありません。

写真:とりあえず、なんとなく、でコンサルになるのはやめたほうがいい理由

一方で、本日のテーマである「なんとなく」でコンサルティング業界を志望する方も、業界の印象改善に伴い増えている印象も持ちます。将来のキャリア形成に対する保険の1つと捉えられているのではないかとは思います。

現実は、そのような「なんとなく」でコンサルティング業界を志望される方は、ほぼ戦略系と言われるファームにおける面接では落とされていると思います。実際、私自身も
「なぜコンサルティング業界を志望するのか?それは、現職、他業界では出来ないことか?」
「なぜ、今のタイミングなのか?」

といった質問を必ず確認し、覚悟や1つひとつに対する思考の積み上げ方を確認させて頂いてはいます。なお、総合系等のファームでは、旺盛な需要に応じる形で膨れ上がった組織の"規模の維持"それ自体を目的に、「なんとなく」の方も含めて、採用を"続けざるを得ない"状況とは聞いています。

しかし、「なんとなく」にも程度がある為、面接のタイミングで見抜けない方もいます。そのような方の多くは、目を引く様な頭のキレや、特定の業界やテーマ(デジタル、SDGs、等)に対する経験や知見を持ちます。現実問題として、ポテンシャルやケイパビリティを一定持つのであれば、この程度の「なんとなく」であればOKであろうと、判断を下しています。本日は、戦略ファームでは極稀に出会うことのある、そのような「なんとなく」の方を念頭におきながら「とりあえず、なんとなく、でコンサルになるのはやめたほうがいい理由」を、お伝えできればと思います。

仕事に対する基本姿勢

前提となりますが、コンサルタントはプロジェクトを基本単位として仕事をしています。その為、プロジェクトがなければ仕事は発生しません。つまり、コンサルタントにとって仕事は、「与えられるものではなく能動的に取りに行くもの」という認識が一般的になります。

この基本的な仕事に対する認識が、実務上、何を意味するかと言いますと「能動的に仕事を取りに行く行為は、(忙しい中で更に!)自ら忙しくなりにいくこと」を意味します。加えて、自ら仕事を取りに行かなくても報酬にあまり差はつきません。これを実践するには「なんとなく」でコンサルタントをしているだけでは難しく「目的意識や強い意志」が必要となります。

蛇足ですが、現在のコンサルティング業界は需要過多な状態です。その為、プロジェクト依頼に対してコンサルタント不足を理由に、お断りをするケースが散見されています。一方で、若い方にとっては想像がつきにくいかもしれませんが、10年ぐらい前までは需要過多の状態ではありませんでした。結果、当日は各プロジェクトでパフォーマンスを出せない人は、次プロジェクトに誰からもアサインされず、また、プロジェクト途中でのリリースも良く散見されました。

その時代を生き抜いたコンサルタント(現在、各ファームのかじ取りをしている人たち)にとっては、よりいっそう「なんとなく」でコンサルタントを続けることは難しいと、感じているのではないかと思います。

仕事を通じた成長の角度

どのコンサルタントにも、「しっかりと成長をしているか?」と聞くと、「成長をしている」と答えます。これはコンサルタントに限った話ではないかもしれません。当然、成長はしているのでしょう。その事実は誰も否定できません。

しかし、質問するこちらが本当に聞きたいイシューは、「上長である私やクライアントの求めるスピードで成長をしていますか?」という点であり、重ねて問いかけると、大抵は「足りていない」と答えます。

「なんとなく」でコンサルタントになっていた方は、この求められる成長スピードの実現に苦しんでいました。「何かおもしろいテーマにアサインされないと成長出来ない」「あの優秀なマネージャーの下にアサインされないと成長出来ない」、といった発言も多く、そのような発言を聞くたびに、がっかりした記憶があります。

「なんとなく」ではなく、目的意識を持つコンサルタントは、どのような環境でも成長の芽を見つけて成長しています。結果、同じプロジェクトで同じ時間を過ごしていたとしても、成長スピードは異なります。そして、厳しい話ですが「なんとなく」では、先述の「上長やクライアントの求めるスピードで成長」し続けるのは困難であるというのが現実となります。

最後に

コンサルタントになりたての頃は、「なんとなく」ではなかったものの、長く業界にいると「なんとなく」惰性でコンサルタントを続ける方もいます。良く聞くのは、シニアになると1つのクライアントに集中するのではなく、複数のクライアントと相対する必要が出てきます。その結果、コンサルタントとしての価値の出し方が分からなくなる方もいます。

私の感覚では、この業界にいるマネージャー以上のシニアクラスの大多数は「なんとなく」でコンサルティングを続けている方が多いという印象があります。
報酬も他業界と比較して高く、また事業会社の良い面・悪い面を知っているシニアクラスの人は「なんとなく」で仕事を続けざるを得ない状態に陥っています。言い換えると、クラスにあった価値の出し方を上手く年月とともにシフト出来ないと、このような状態に陥ることになります。

せっかくの将来キャリア形成の一助になるはずのコンサルティング業界での経験が逆に足かせとなってしまうのは、非常に不幸な状態です。皆さんは、そのような状態を回避する為、コンサルティング業界を目指す場合は、よくよく"出口"と"EXIT条件"にあたりをつけておくことをお勧めします。

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