ヘルスケア業界最新動向 2021 (2021.06.18)

こんにちは、ヘルスケア業界担当 喜田です。
新型コロナウィルスによるパンデミックが始まって1年半。漸くワクチンの接種が始まり治療薬の開発も進められています。
まだまだ以前の日常に戻るには時間がかかりそうですが、トンネルの出口は見えてきた状況でしょうか。

こういった中、様々な産業で働き方や組織の構造変化が起きていると言われますがヘルスケア業界も例外ではありません。
より正確に表現するとすれば、特許切れや薬価の問題で変革が起きていたものがコロナ禍によって加速したという印象です。
いくつかの視点から、これまでとこれからを取り上げてみたいと思います。

■コロナ禍は採用市場に影響をあたえているのか?

製薬業界ですが市場規模としては、昨年は縮小しています。
コロナウィルス感染を恐れた患者さんが、病院(特に、いわゆる町のお医者さん、クリニック)に行かなくなったのが主な原因ですが感染対策意識が高まった結果、風邪をひかなくなったのも病院に行かなくなった原因としてあります。昨年はインフルエンザもこれまでになく患者さんが少なかった一年でした。
MRの対面訪問が減った結果、新規の薬剤の導入が進まず新薬の市場浸透が遅れてもいるようです。
中規模病院以上は売上が回復基調、とのことですが開業医はまだ売上減少傾向が続いているようですので市場の本格的な回復にはもう少し時間がかかりそうです。

「求人数」に関しては影響はないとみています。実際受注件数は減るどころか増加傾向です。
オンライン面接が普及したことで、転職を御考えの方と企業の接点は作りやすくなりました。面接実施のハードルは下がっている印象です。
また、他の業界との連携が増えたのでそういうプロマネ的なニーズや自社の持つ強みを新しい事業化するBDなどのリード役のニーズは増えている印象です。

■患者さんと病院・医師のアクセス

製薬メーカー各社が、これまでのような薬を開発して売るというビジネスモデルからの脱却を図っています。より具体的にはより得意な疾患領域に集中して、患者さんへのアクセスを主眼においたソリューション企業に変化しつつある印象です。
そのため、これまでにはなかったような協業が産まれています。例としては、アステラス製薬とバンダイナムコ、大日本住友製薬と損保ジャパン・Aikomiなどあります。

■診断薬市場の拡大

新型コロナウィルスの流行によって、毎日耳にするようになったPCR検査。正しい治療を行うためには、正しい診断が必要になります。日本のみならず先進国全体的に高齢化傾向が今後進んでくることが予想されており、診断薬(IVD)業界は2020年には820億米ドル、2027年には1024億米ドルの市場に成長すると予想されています。※1
適切な診断を行わないと、せっかくの治療や投薬が効果を発揮しないことも多く、特に高額なバイオ医薬品に関してはその傾向が顕著なこともあり診断の領域の重要性はますます高まっております。

検査キットの使用方法の簡便化も日進月歩であり、コロナウィルスの検査キットの精度向上等は良い例かと思います。より、医療現場が使いやすく、診断の精度を上げるというキーワードで技術改良は進んでいます。

■デジタルセラピューティクス

新たな治療法として注目を集めている、デジタルセラピューティクス。昨年、CureAppが禁煙治療の承認を取得したことは記憶に新しいところです。
画期的な治療法の開発を促進すべく厚生労働省でも、2021年度内に治療アプリの開発や審査に役立つ審査基準の明示や、「革新的プログラム医療機器指定制度」を制定するなど国の後押しが進んでいます。
特に治療用アプリに関しては製薬メーカーの関心が非常に高く、また、審査基準が明らかになることでベンチャーへの敷居も低くなると予想されます。
今後治療用アプリの申請は増加傾向、引いてはそれに基づく採用マーケットも活発になると予想しています。

■ジェネリック医薬品業界

品質問題に端を発して、ジェネリック医薬品業界が動いています。品質問題以外にもこれまでのようには市場拡大が見込めず、恐らくこの1,2年でジェネリック業界は大きな転換点を迎えると思われます。

顕著な例で言いますと、武田テバ薬品は大洋薬品時代から主力工場としていた、高山工場を日医工に売却。武田テバはその他の工場も売却しており、国内の自社生産拠点をなくしました。今後はブランド医薬品やジェネリック医薬品の国内での販売にフォーカスしていくものと思われます。
他方、高山工場の引き受け手であった日医工は販売品目数を増やす全方位戦略を目指すかと思われましたが品質問題が発生しており、多数の品目で供給停止となっています。
これまでのような国内で多品目を特許切れと同時に新製品を販売する、という戦略だけではなく海外戦略や得意とする疾患領域に絞る(例:中枢系に得意な共和薬品、点眼薬に強い日本点眼薬研究所等)など、より多彩な戦略が今後産まれてくると思われます。
国の社会保障政策にも関わる重要産業ですので、今後の業界動向が注目されます。

今後も業界再編や、新しい治療法の開発等ヘルスケア業界の動きは活発です。
随時、アップデートし皆様に情報を御伝えできればと思っております。

もし、業界動向等気になる際は直接担当コンサルタントにお気軽にお問い合わせくださいませ。(喜田

※1 newscast 2021.5.19 記事より

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▼ ヘルスケア業界ニュースはこちら
https://www.careerinq.com/industry/healthcare/news/

写真:喜田 和也

執筆者喜田 和也

マネージング ディレクター

ヘルスケアおよびライフサイエンス業界におけるマネジメント・エグゼクティブクラスの紹介実績を豊富に持ち150名を超える転職支援実績を持つ。15年に及ぶ業界の知見から、開発・生産・品質等の専門職のみならず経営職や新規事業開発やビジネス立ち上げフェーズなどのニッチ領域の提案を強みとしている。

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