注目企業インタビュー 株式会社メビウス製薬 株式会社メビウス製薬 エグゼクティブ・オフィサー 高橋 宏祐 氏 / 株式会社メビウス製薬 商品部 マネージャー 鈴木 久美子 氏 / インスタイルグループ CTO 高際 兼一 氏 (2025.8)

インスタイルグループは、2008年に設立された経営コンサルティングのインスタイル株式会社を中核に、飲食、不動産・家具・雑貨、美容、アパレル、通信、エンターテイメント、IT、デザイン、広告など、多業種の企業で構成されたユニークな企業グループ。2022年にグループインしたメビウス製薬は、エイジングケアに特化した化粧品の開発力に加え、「日本初となる、Shopify上でのサブスク×後払い」を実現するなど、飛躍的な事業成長に向けて独自の地位を築いている。今回インタビューしたのは、メビウス製薬エグゼクティブ・オフィサーの高橋宏祐氏と商品開発担当の鈴木久美子氏、インスタイルグループCTOの高際兼一氏。三者三様の視点から、メビウス製薬およびグループの特徴や、求める人材について語ってもらった。
目指すのは自分たちの「ハッピーエンド」。
素直な思いをベースに仕事に向き合う
メビウス製薬についてお聞きします。高橋さん、鈴木さんのご経歴と、現在の役割について教えてください。

【高橋】私は富士通、ソフトバンクを経て、2019年にミツカンホールディングスに新設の最高ダイレクト戦略責任者として入社しました。そこで新しい食品ブランド「ZENB(ゼンブ)」を立ち上げ、ダイレクトマーケティングの事業責任者を務めています。インスタイルグループへの入社は2024年7月です。弊社は「肩書きがない」会社なのですが、便宜上、対外的にはメビウス製薬のエグゼクティブ・オフィサーと名乗っており、業務上の役割としては、メビウス製薬のCEO、COO、CFOなどを兼ね、全ての領域を見ています。インスタイルグループの他の会社の業務に携わることもありますが、今のところはメビウス製薬に軸足を置いています。
【鈴木】私は化粧品メーカーで20年間務めた後、2025年1月にメビウス製薬に入社し、現在半年が経ったところです。前職は創業期に入社したため、商品開発から顧客対応、店舗向けの卸対応など、多岐に渡る業務に従事しておりました。その中で商品企画・開発の領域が長く、メビウス製薬でも引き続き商品開発を中心に担当しています。
鈴木さんがメビウス製薬を選んだ理由、きっかけは何でしたか。
【鈴木】美容業界を長く経験する中で知識と経験を身につけ、自分自身の今後のキャリアに目を向けたとき、「たとえ会社の目指す方向性や、上司や仲間が考えていることが、これまでの自分に馴染みがないものだったとしても、そこにあえて飛び込み、新たな可能性や未来を見出していく仕事をしていきたい」と思いました。
そんなときにインスタイルグループとメビウス製薬を知り、「思考停止に陥ることなく面白いことをしていこう」という姿勢に可能性を感じました。
同じ業界でのキャリアが長くなると、「組織や会社に貢献すること」が前面に来なければいけない、となんとなく思ってしまいがちです。でも、メビウス製薬とご縁があってからは、「別のアプローチも提案してみよう」という考えを大事にしていいんだなと思えました。
面接の初期段階から、変にかしこまることもなく、自分の思いに素直になって話ができましたし、面接官を務めていた高橋からも、どんな思考を持っているのか、どんなことを期待しているのか、驚くほど率直にぶつけてもらえて、嘘のない会社だなと感じました。この会社なら、自分の考えを大事にしながら仕事を進めていけそうだと思えたことが、入社を決めた大きな理由です。
メビウス製薬、およびインスタイルグループの特徴や、強みについて教えてください。
【高橋】メビウス製薬は2022年にM&Aによってグループインした会社です。創業以来、特に美白系のスキンケア商品に定評があります。その強みを活かしながら、時代の変化やニーズに合わせた新しい商品を作っていこうとする発展性が、魅力の一つだと思います。
一方、インスタイルグループという会社は、非常に変わった会社で、たくさんのグループ会社を持ちながら、各社にはホールディングスカンパニーのような資本関係はなく、自由裁量で経営されています。
それでいてきちんとつながりもあって、どの会社の人と会話しても違和感なくコミュニケーションができます。それはなぜなのかと考えてみると、インスタイルグループが掲げるビジョンが、他の会社とちょっと違っているからなのかな、と。他社のビジョンは、「世の中を変える」など、外に向かって作用するようなものが多いのですが、インスタイルグループが目指すのは、自分たちの「ハッピーエンド」。自分たちが幸せでいれば、その仕事は、巡りめぐって世の中を良くすることにつながる、という考え方なんです。
【鈴木】「自分たちが幸せに働いていれば、それが社会の幸せに全てつながっていく」というビジョンを建前として掲げているだけでなく、きちんと事業組織に根付いているのがインスタイルグループのすごいところだと思います。
会社によっては、掲げているスローガンに対して、実態が伴っていないといったことはよくあるケースです。特にインスタイルグループのように多種多様な企業がある中で、一つのグループとして成り立たせることはとても難しいことだと思います。でも、入社から半年経ってみても、掲げているスローガンと実態に違和感を感じることはなく、グループの枠を越えて根付いていると実感しています。
【高際】自分たちのハッピーエンドを掲げている会社である、ということは、裏を返せば「自分自身で成すべきことを探さなければいけない」ということでもあります。他社では、立派なスローガンだけが一人歩きしてしまうことがあるかもしれませんが、インスタイルグループにはあえてそれがないことによって、「自分にとってのミッションやビジョン、スローガンに値するものは何だろう」と考えなければなりません。そこにおもしろさを感じる会社です。
企業風土として特徴的なのは、グループ代表の西村をはじめとして、高橋や他のグループ会社の社長たちがみんな近い距離にいることです。西村は多様な業界に投資を行いグループを成長させてきた一方で、間違った方向にいったらやめる決断ができる、誰とでもフランクにコミュニケーションが取れるといった普通の感覚を持つ人で、人間としてもとても尊敬しています。グループ会社の社長たちもそれぞれみんな個性的で、彼らと近い距離で日々仕事できるところが魅力のひとつだと思います。
日本初の「サブスク×後払い」で消費者ニーズに応え、事業を成長させる
メビウス製薬が今注力しているプロジェクトについて教えてください。
【高際】2025年5月に、Shopifyでの「サブスク×後払い決済」を可能にしたECシステムを実装したことが、最近の大きな取り組みです。
ご存じの通り、Shopifyは「ECサイトを作るならShopify」と言われるほど、世界的にもトップクラスの実績を誇る会社で、その会社の本社と一緒にこの機能を開発したということが特筆すべき点です。
【高橋】今までもShopifyにはさまざまな機能リクエストがあったようですが、そのリクエストが通ることは非常にまれでした。前職でかなり早い段階からShopifyを利用していたこと、国内トップクラスのShopify構築ベンダーと友好関係を築いていたこと、メビウス製薬における体制が整ってきたことなど、さまざまなタイミングがうまくはまって、Shopifyグローバル本社を動かすことができ、今回のサブスク×後払いが実装できました。
【高際】これまで、化粧品のようなD2Cの商品では、定期通販の決済方法がネックになってしまい、利用できないお客様が多くいらっしゃることが課題でした。特にご高齢のお客様ではクレジットカードをお持ちでない方が相当数いらっしゃることもあり、後払いを希望される方が多くなっていて、メビウス製薬でも50%以上を占めていました。決済方法はダイレクトに売上に影響しますから、Shopifyを使いたくてもなかなか使えない、というブランドやメーカーも多かったはずです。
※2025年5月に発売した「TRIPURE(トリピュア)」
【高橋】このプロジェクトは、私が入社直後から立ち上げ、スピーディーに進めてきました。リリースしてから2カ月経ちますが、実際に売上の半分は後払い利用によるもので、おおむね想定通りと言えます。
【鈴木】同じ2025年5月に発売した「TRIPURE(トリピュア)」も、これまでにありそうでなかった、画期的な商品だと思います。TRIPUREはアルミ製の密封パウチに個包装された美容液が、キャンディーのように袋に詰められている商品です。化粧品は特に、高級感を重視する傾向が強いのですが、パッと目を引く蛍光の黄色を使おう、アルミの袋に入れてみようという発想が出ることも、それを実際に形にできることも、きっとこの会社だからできたと思っています。
各プロジェクトはどんな進め方をするのですか。
【高橋】あまり仰々しくチームを作るということはしません。たいていの場合、私が担当者をアサインして、数人単位で動いてもらうようにしています。専門性がある分野であれば任せますし、誰もいない領域は私自身が担当することも多いです。
「いついつまでに進捗を報告する」というような形式張ったことは何もなく、Slackでのやりとりや、フランクな会話をベースに進めています。もちろん何かあれば都度フォローします。
高際や、グループ代表の西村とも同じで、ふらりとやってきて会話に加わる、という光景が日常です。もちろん、業績に関わる数値は必ず毎月の経営会議で報告しています。重要なところは締めつつ、普段の業務は自由で、裁量の範囲も広いと言えると思います。
【鈴木】化粧品の開発においては、私たちは開発側の目線で商品提案をします。一方で高橋からは、「こういう商品の方がニーズに合っているのではないか」といったような、開発とは違う視点からの意見をもらいます。それをすり合わせて、よりいい商品を作っていくというスタイルになっています。
TRIPUREの開発時も、「この時期を逃さず販売すべき」との意見を受け、スケジュールに間に合わせるため、納期を短縮して対応しました。
開発側と売り手側、どちらが上に立つということもなく、双方向のコミュニケーションを取りながら進めるスタイルがとてもおもしろいですね。
必要なのは素直さとセンス。
圧倒的に成長したいという人ならどこまでも伸びる環境を用意
メビウス製薬が思い描く今後の展望はありますか。
【高橋】メビウス製薬で実践していることを、D2Cの主軸のプラットフォームとして確立し、それを他のグループ会社に横展開していきたいと考えています。例えば、化粧品では、商品によって、また季節によって配送用の箱を変えるような仕組みができています。それを、弊社で運営しているミュージシャンのグッズ販売(EC)に活かせれば、「T シャツはこの箱」「この時期はこのデザイン」といった、よりきめ細やかなサービスを実現できます。
【高際】技術分野に関して言うと、今回実現したShopifyのプラットフォームで、D2Cの成功事例として真っ先にメビウス製薬の名前が挙がるように、しっかりとサービスを作っていきたいと思います。AI なども活用して、PDCAをスピーディーに回しながら、より良いサービスの確立を目指していきたいです。
また、メビウス製薬での成功事例をグループに横展開していくといっても、ただただ数を増やしていくという方向ではなく、際立つ存在でありたいと思っています。日本初である上にUIもカッコよく、しかもきちんと売れている、という状態を作り、トップランナーであり続けるということがやはり大事です。
【高橋】また、今後はより貪欲に利益を上げていきたいと思っています。前期から人事評価制度を刷新し、利益の一部を社員のボーナスとして還元するという制度に変えました。従来の人事では相対評価が主流ですが、弊社では、新入社員からベテラン社員まで、社員グレードに関係なく全員同じ指標で11段階評価する、絶対評価に取り組んでいます。将来的にもっと利益が上がれば、さらにボーナスの額は上がります。目指しているのは、化粧品業界で給料ナンバーワン。これは決して夢物語ではありません。
それが、インスタイルグループのビジョンである「ハッピーエンド」にもつながると思っていますし、制度を作ったり、事業を成長させたりして、従業員を幸せにするのが私の役目だと思っています。
メビウス製薬が求める人材、活躍できる人材について教えてください。
【高橋】採用したい人材は、素直で、「成長したい」と考えている人です。将来的に圧倒的なプロになりたいと、高い望みを持っている人を採用したいですね。専門的なスキルが必要な商品の開発職だとまた別ですが、基本的にスキルや経験はあまり重視しないことにしています。
というのも、経験値を重視してしまうと、素直に取り組めない方や、あまり成長を求めていない方もいらっしゃり、そういう方はあまり当社にはフィットしないだろうと考えているからです。
面接の中で見ているのは、センスと地頭の良さです。「これがカッコいいよね」という感覚が同じかどうかを大事にしています。
活躍できる人、という観点では、飲み込みが早い人は成長も早いと思います。例えば、同じ会議に出ていて同じ情報量を得ているのに、解釈が異なる人がいます。成長が早い人は、会議で決まったことをきちんと理解して、「次に何をやるか」を先回りしてタスク化していますね。ラフ案を持ってくるのも早いです。「この方向性で間違いないか」「この進め方で合っているか」「公開前の段階だが、これでいいか」と、フェーズごとにこまめに確認して進めている印象です。自分一人で抱え込まずに、ラフの段階で持ってきて、どんどん変えていく、という方が弊社には合っているし、結果的に成長もするのではないでしょうか。
【鈴木】大人になればなるほど、素直さというのは余計に大事ですね。過去の経験に縛られたまま進むと、どんなに経験が豊富であっても、いいものは生まれません。自分自身のハッピーエンドを目指す、とはいっても、「自分が楽しいものを作ったから、何でも良い」わけではありません。周りとコミュニケーションをとりながら、人の考えをミックスして、より良い方向性にしていける人が合っていると思います。
高橋や高際のような、知識と経験のある人が身近にいてフォローしてくれる環境も魅力的です。開発職は、商品を作っただけで満足してしまうことになりがちですが、きちんと売上などの数字のフィードバックももらえます。それを励みにし、おもしろさを感じる方なら、楽しく働けると思います。
【高際】AIなどの新しい技術をキャッチアップして周りの人を巻き込んでいける人に来ていただきたいです。人に聞く、ツールを使ってみる、というようなフットワークの軽さはとても大事だと思っています。
エンジニア職に特化して言うと、特に高い技術が必須だということはありません。Shopifyのサブスク×後払いでも、日本初ということで注目されていますが、テクニカルにすごいかというと、そうでもないんです。要は既存の技術の組み合わせによって、新しい価値を生み出しているということ。技術だけを追い求めていればいい、という方向性ではないですね。
自分の持てるスキルを活かして、どう事業に貢献できるかを常に考えている人が合っていると思います。どんなに優れた技術でも、すべて目的を達成するための手段にすぎません。弊社では新しい技術やツールを取り入れており、チャレンジできる環境がベースにありますが、それらも全ては手段。目的を達成するためには、何が一番いいのかを常に考えられる人に、ぜひジョインしていただきたいです。
最後に、採用候補者の方へのメッセージをお願いします。
【高橋】圧倒的な成長を求める方、お金を稼ぎたいという方は、ぜひ来てください。私は長年D2Cの領域で仕事をしてきて、どんな業界でも通用するメソッドを持っていると自負しています。そのメソッドは、全て仲間に伝授するつもりです。繰り返しになりますが、素直さがあれば、きっと成長できます。またモチベーションに左右されず良い仕事ができる方もウエルカムです。いずれも結果さえ出せれば高く評価します。
面接では、素直に、思ったことを率直に話していただきたいです。「なぜこんなことを聞くんだろう」という謎の質問も多いかもしれませんが、それによって、どういう人なのかを見ています。お互いにとってハッピーかどうか、というところを見ているだけなので、変に気負わず、楽しくお話していただければと思います。
【鈴木】自分自身についてしっかりと棚卸しをして、自分のいいところを、自信を持って、伸ばしていってほしいです。もし足りない部分があったとしても、メビウス製薬も、インスタイルグループも、みんなで助け合っていこうとする会社です。そこは安心して、それぞれのハッピーエンドを目指していけたらと思います。
【高際】われわれのビジョンは「ハッピーエンド」ですから、採用候補者の方にもぜひ「あなたにとってのハッピーエンドは何ですか?」と聞いてみたいです。ただし、ないならないで、ハッピーエンドがまだ見つかってないと素直に答えていただければ良いと思っています。自分の内面を見つめ直すいい機会だととらえてもらえたら嬉しいです。インスタイルグループに入社することが、そのハッピーエンドに合致するのかどうか。またはインスタイル仲間と真剣ハッピーエンドを探し手に行きたいと思う方には、ぜひ仲間になってほしいです。
プロフィール

株式会社UNDERSTAND 代表取締役(事業スケールコンサルティング)。グループ企業のメビウス製薬のトップマネジメントとして経営改革と事業スケールを推進。前職は、富士通、ソフトバンク、Mizkan Holdings

化粧品メーカーにて20年間にわたり商品企画・開発を中心に幅広い業務を経験。メビウス製薬の商品部マネージャーとして、開発視点と市場ニーズを融合させた商品づくりを推進している。

株式会社Nombre Premier 代表取締役。ソフトウェアエンジニアとして、グループ企業の全体のIT全般を推進。
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