Z世代の購買行動と"信頼"の作り方 (2026.01.27)

キャリアインキュベーションの松井です。
消費者行動の変化が加速するなかで、企業にとって重要になっているのが「なぜ選ばれるのか」を言語化し、継続的に示していく力だと考えます。価格や機能、利便性といった分かりやすい優位性だけでは差別化が難しくなり、ブランドや企業そのものへの"信頼"が、選択の前提条件になりつつあります。

その流れの中心にいるのが、これから消費市場の中核を担っていくZ世代です。彼らの価値観や行動様式は、単なる若年層トレンドではなく、今後のコンシューマービジネス全体の基準を形づくっていく存在と言えます。

本コラムでは、Z世代の購買行動を切り口に、「信頼はどのように形成されるのか」「企業やブランドは何に取り組むべきか」を整理していきます。

1. Z世代とは~価値観と時代背景から見る特徴~

Z世代とは、一般的に1990年代後半から2010年代前半に生まれた世代を指します。現在は10代後半から20代後半に差し掛かり、消費者としても、また将来の意思決定層としても存在感を増しつつあります。

彼らの最大の特徴は、デジタルネイティブであること以上に「不確実性を前提に育ってきた世代」である点にあります。バブル崩壊後の長期的な経済停滞、東日本大震災、度重なる自然災害、そしてパンデミック。Z世代は、社会や経済が常に安定して成長するという前提を持たずに成長してきました。

そのため、上の世代に見られがちな 「努力すれば報われる」「将来は今より良くなる」 といった楽観的な価値観よりも、 現実的で、リスクを冷静に見極める姿勢が強い傾向があります。

また、Z世代は組織や権威を無条件に信頼しません。企業やブランド、さらには個人に対しても「言っていることと、やっていることが一致しているか」「自分たちの立場に寄り添っているか」「都合の良い情報だけを切り取っていないか」といった点を敏感に見ています。

一方で、Z世代は決してシニカルなだけの世代ではありません。自分なりに納得できる理由や共感できる背景があれば、ブランドや企業を長く支持するロイヤリティも持ち合わせています。
この「簡単には信じないが、信じたものは大切にする」という姿勢こそが、Z世代を理解するうえでの重要な前提と言えるでしょう。

2. 情報接触とメディア習慣~「調べる」より「流れてくる」~

Z世代の情報収集で特徴的なのは、検索エンジンよりもSNSが起点になっている点です。Instagram、TikTok、YouTube、Xなどを日常的に使い分け、アルゴリズムによって流れてくる投稿や動画の中から情報を得ています。
商品やサービスについても、まず公式サイトを見るというより、実際に使った人の投稿 、レビュー動画、コメント欄でのやり取りをチェックするケースが少なくありません。

ここで重視されているのは「情報の正しさ」以上に 誰が、どんな文脈で語っているかです。 企業が丁寧に作り込んだ説明よりも、生活者のリアルな体験談のほうが信頼されやすい傾向があります。

また、短尺動画やビジュアル中心の表現への親和性が高く、長文で一方的に語られる広告的な表現はスキップされがちです。大量の情報に日々触れているからこそ「直感的に分かるか」「自分の生活に置き換えられるか」 が、瞬時に判断されています。

3. 購買決定の心理~安さよりも「納得できる理由」~

Z世代の購買行動を見ていくと、価格の安さが絶対的な判断基準ではないことが分かります。もちろん無駄な出費は避けますが、それ以上に重視されるのが、なぜこの商品を選ぶのかという納得感です。
購買のきっかけになりやすいポイントとしては、
「自分の価値観やライフスタイルに合っているか」「ブランドの姿勢や考え方に共感できるか」「実際に使った人がどう感じているか」といった要素が挙げられます。
特に、環境配慮や多様性への取り組みなどについては、表面的なメッセージだけでは不十分です。言っていることと実際の行動が一致しているかどうかを、Z世代は冷静に見ています。
また、購買は単なる消費行動ではなく、「自分は何を選び、何を支持する人なのか」 を示す自己表現の一部でもあります。だからこそ、ストーリーや背景に共感できるブランドが選ばれやすくなっています。

4. UGC・インフルエンサーと信頼構築~企業は主役にならない~

Z世代との信頼関係を考えるうえで、UGC(User Generated Content)やインフルエンサーの存在は欠かせません。ただし、重要なのはフォロワー数の多さではありません。
Z世代が信頼しやすいのは、「実際の使用シーンが自然に伝わる」「良い点だけでなく、気になる点にも触れている」「発信者自身の価値観と商品が無理なく結びついている」
こうした"作り込みすぎていない"コンテンツです。
企業がメッセージを過度に管理しようとすると、かえって距離が生まれます。企業は前に出すぎず、ユーザーが語りたくなる余白を用意する。その姿勢が、結果として信頼につながっていきます。

5. ブランドが取り組むべき具体策

では、企業やブランドは具体的に何から取り組むべきなのでしょうか。実務視点で見ると、ポイントは大きく三つに整理できます。
① 情報の透明性を高める
商品開発の背景や工夫した点だけでなく、試行錯誤の過程や改善の取り組みも含めて伝えることが重要です。完璧さよりも誠実さが信頼を生みます。
② 双方向のコミュニケーションを設計する
コメントへの対応や、ユーザーの声を反映したアップデートなど、「ちゃんと見てもらえている」という実感を持ってもらうことが大切です。
③ 短期成果にとらわれすぎない
Z世代との関係づくりは即効性よりも積み重ねが重要です。売上に直結しない活動であっても、ブランドへの安心感や好意は、後から確実に効いてきます。

まとめ──"信頼"を育てるブランドと人に、人は集まる

Z世代の購買行動をひも解いていくと、彼らが選んでいるのは単なる商品や価格ではなく、そのブランドや企業が「どんな姿勢で向き合っているか」であることが見えてきます。
この視点は、消費者向けビジネスに限らず、採用や人材市場にもそのまま当てはまります。 Z世代にとって企業は、 「働く場所」や「取引先」である以前に、 信頼できる存在かどうかを見極める対象です。
発信に一貫性があるか、都合の良い言葉だけを並べていないか、現場のリアルと乖離していないか。 そうした点は、商品選びと同じ目線で、企業選び・キャリア選択の場面でも静かにチェックされています。
だからこそ、企業が日々の事業活動や情報発信の中で「信頼を積み重ねているかどうか」は、 顧客だけでなく、将来のキャンディデイトやパートナーを引き寄せる力にも直結します。
"信頼"を育てるブランドには人が集まり、 "信頼"を大切にする企業には挑戦したい人材が集まる。
Z世代を理解することは、次の顧客を知ることでもあり、次の仲間と出会うための準備でもあります。 その視点を持つ企業こそが、これからの市場と人材の双方で、選ばれ続けていくのではないでしょうか。

写真:松井 雄一朗

執筆者松井 雄一朗

ディレクター

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