2026年、消費者行動はどこへ向かうのか ―コンシューマー業界に求められる"体験価値"の再設計 (2025.12.02)
こんにちは、コンシューマー業界担当の関です。
2025年は消費者行動が大きく揺れ動いた1年でした。物価上昇、円安、エネルギーコスト増、AIの急速な普及、若年層の価値観変化──こうした複数要因が重なり、消費者の購買行動は「価格」や「利便性」の軸だけでは語れない複雑さを帯びています。
そして迎える2026年。
企業が向き合うべきテーマは、これまで以上に**"顧客に選ばれる理由"をつくること**です。
本稿では、2026年に向けて加速する消費者行動の変化と、コンシューマー業界が取り組むべき顧客体験戦略、そしてそれに伴い浮かび上がる"人材の課題"について整理していきます。
1.2026年、消費はさらに"メリハリ化"する
2025年の後半にかけて、消費は「節約」と「投資」の二極化が顕著になりました。2026年はこの傾向がさらに強まり、消費者はよりシビアに支出先を選ぶようになります。
● 節約する領域
・毎日の外食や移動などの"日常支出"
・値上がりした食品・日用品のブランド切り替え
・とりあえず買う"なんとなく消費"の減少
●投資する領域
・美容・健康・ウェルネス
・推し活・ライブ・イベントなど"情緒的価値"
・学び直し/キャリアアップ
・旅行やラグジュアリー消費
つまり2026年の企業は、
「値段が高くても選ばれる価値」を提供できるか
が問われる年になります。
商品そのもののベネフィットに加えて、
ブランドの世界観・ストーリー・共感性
が、消費者の背中を押す"最後の一押し"となるでしょう。
2.OMOは「技術導入期」から「体験設計期」へ進化する
OMO(Online-Merge-Offline)は2025年でようやく一般企業にも定着してきました。そして2026年は、「OMOの質」が問われるフェーズに入ります。
これまでは
・スマホチェックイン
・タブレット接客
・店舗でのアプリ導入
といった"デジタル装備"が中心でした。
しかし2026年は、顧客体験をどう設計するか が勝敗を分けます。
2026年型 OMO のポイント
・オンラインとオフラインの情報を"完全統合"
・個客単位で接客ストーリーが変わる
・店舗体験が「相談」「発見」「共感」が中心に
・ECは「最速・最短」だけでなく"最適"へ進化
・AIが顧客行動を予測し、次の体験を提示
つまり企業が目指すべきは、
"顧客が迷わずに、自分に合う商品に辿り着ける体験"
をつくることなのです。
3.コミュニティとライブコマースが"購買の起点"に
2023〜2025年で一気に広がったライブコマースは、2026年に本格的な成熟期へ突入すると見られます。
単なる「配信映像+EC」ではなく、
コミュニティと一体化した購買体験
として位置付けられるようになります。
なぜ2026年に伸びるのか
・Z世代中心に「検索より動画」で商品を探す行動が一般化
・AI編集ツールの進化で動画制作のハードルが下がる
・インフルエンサーの"ファン化"が加速
・店舗スタッフ自身がライブ配信を行うケースが急増
消費者は企業の広告よりも、
「推せる人の言葉」
を信じるようになっています。
この流れを無視できる企業はありません。
採用市場でも急増する職種
・コミュニティマネージャー
・コンテンツマーケター
・ライブ配信ディレクター
・店舗 × SNS のハイブリッド人材
・"ブランドアンバサダー型"販売スタッフ
特に「店舗経験があり、SNS発信力もある人材」は極めて希少で、採用競争が激化しています。
4.パーソナライズは"AIによる体験シナリオ"へ発展
2026年のAI活用は、単なるレコメンドを超え、
「顧客ごとの体験シナリオ」を自動生成する段階に
進むと考えられます。
【2026年のパーソナライズ例】
・アプリを開くと、顧客ごとに異なるUI配置
・店舗に入店するとAIが「今日必要なサポート」を予測
・購入後のフォローアップも自動化(使い方レコメンド・次の購買タイミングの提案)
・CX(顧客体験)の"事前予測"に基づくオペレーション設計
つまり2026年は、
顧客が動く前に企業が動く時代
になります。
5. サステナビリティは"透明性"が最大の価値へ
2024〜2025年は「環境配慮の取り組み」が注目されましたが、2026年に求められるのは一歩進んだ
"サステナビリティの透明性"
です。
・生産背景の可視化(原材料・工場・CO2排出量)
・トレーサビリティのリアルタイム公開
・回収・リサイクルの仕組みの標準化
・長く使うためのアフターサービス強化
特にZ世代では "透明性が高いブランド=信頼できるブランド" と評価される傾向が強くなります。
6.企業の最大の課題は「人材がいない」こと
2026年、企業が直面する最大のボトルネックは間違いなく
「デジタル × 体験設計」の人材不足
です。
とくに不足が深刻な3領域
1.OMO戦略人材(デジタル×店舗)
・DX推進経験
・店舗オペレーションの理解
・顧客体験設計(CX)の知見
→ これらを横断できる人材は極めて希少。
2.CRM・データ活用人材(分析→施策実装)
・単に分析ができるだけでなく、施策に落とし込める人
・SQL、BI、AIツールを使いこなせる人材が争奪戦に。
3.ブランド体験クリエイター(CX/UX)
・企画・デザイン・ストーリー構築
・コミュニティ運営
・ライブ配信・SNS活用
└ 総合力が求められ、採用が極めて難しい。
特に「小売・消費財・外食」はデジタル人材獲得競争が激化しており、2026年は外部採用だけでなく
"社内育成"と"中途採用"を同時に行うことが必須
になります。
7.2026年の企業が取り組むべき顧客体験戦略
2026年は、消費者が「何を買うか」よりも
"なぜそのブランドを選ぶか"
が重要になります。
企業が優先すべきは次の4点です。
① 顧客行動の"全体像"を再定義
顧客の意思決定は複雑化しているため、
購買プロセスをチャネル別ではなく
"体験の流れ"として再設計する。
② ブランドの世界観を一貫させる
世界観・ストーリーを軸に、
店舗・EC・SNS・ライブ配信を統一することが重要。
③ データ×現場の一体運営
マーケ・EC・店舗が分断されている企業は淘汰される。
横断組織の強化が不可欠。
④ 人材戦略の再構築
・デジタル/OMO/CX人材の採用強化
・店舗スタッフの"ブランドアンバサダー化"
・コミュニティ・ライブ配信に対応できる人材育成
【まとめ】
2026年のコンシューマー業界にとって最も重要なテーマは、
「体験価値」の再設計です。
消費者は価格でも機能でもなく、
"自分が心地よくいられるブランド体験"
を求めています。
その体験を作り出すのはテクノロジーと、
そして何より"人"です。
デジタルとリアルをつなぎ、
体験価値をデザインできる人材こそ、
2026年以降の企業成長を左右する存在になるでしょう。
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