外食産業の2024年振り返りと2025年展望 (2025.02.28)

こんにちは、コンシューマー業界担当の関です。
今回は、私が担当しております外食産業の2024年振り返りと2025年展望をまとめてみました。
私自身は食べることが大好きで苦手なカテゴリーも全くないのですが、昨年から家族の影響でオーガニックの食材・調味料を好むようになりました。実は無農薬のお米作りにも参画するくらいに嵌っています(笑)健康志向の傾向は2025年の動向にも表れているようです。

まず、2024年外食産業の振り返りですが、物価高や人手不足といった課題に直面しながらも、全体的には売上が前年を上回る好調な推移を見せました。以下に、主な動向をまとめます。

1. 売上の増加
日本フードサービス協会の「外食産業市場動向調査 2024年年間結果報告」によれば、2024年の外食産業全体の売上高は前年同期比108.4%と増加しました。特に「ファミリーレストラン」(109.5%)や「喫茶」(109.0%)、「ファーストフード」(108.1%)など、すべての業態で前年を上回る売上を記録しています。

2. 客数と客単価の上昇
同調査によると、客数は前年同期比104.3%、客単価は同103.9%と、いずれも増加傾向にあります。これは、物価上昇に伴う価格改定や、消費者の外食需要の高まりが影響しています。

3. 店舗数の微減
一方で、店舗数は「ファーストフード」を除き全体的に微減傾向が見られます。特に「パブレストラン/居酒屋」は、コロナ禍で大きく店舗数を減らした後、第IV四半期にようやく前年比を上回り始めました。

4. 倒産件数の増加
帝国データバンクの調査によれば、2024年の飲食店の倒産件数は894件と過去最多を更新しました。これは、物価高や人手不足、コロナ禍の影響など、経営環境の厳しさが影響しています。

5. 価格改定と高価格帯メニューの登場
原材料費や光熱費の高騰により、多くの飲食店が価格改定を実施しました。特に、ラーメン一杯の価格が1,000円を超える店舗も増加し、消費者の間で話題となりました。

6. インバウンド需要の回復
円安や観光需要の回復により、訪日外国人観光客(インバウンド)の増加が見られ、外食産業の売上増加に寄与しました。
総じて、2024年の外食産業は、物価高や人手不足といった課題に直面しつつも、売上や客数の増加、インバウンド需要の回復など、ポジティブな要素も見られた一年となりました。

次に2025年の外食業界の展望ですが、物価高騰や人手不足といった課題に直面しつつも、新たなトレンドや技術革新が注目されています。

1. テイクアウトとデリバリーの進化
デリバリー需要は引き続き存在しますが、配達コストの上昇により、テイクアウトの利用が増加すると予想されています。飲食店はテイクアウトメニューの充実や、持ち帰り専用の特典提供などで顧客満足度を高める施策が求められます。

2. M&A活動の活発化
2024年には、外食業界全体で客数や客単価の上昇により好調が維持されましたが、同時に倒産件数が過去最多を記録しました。このような状況下で、業界再編や事業拡大を目的としたM&A活動が活発化すると予想されています。

3. 健康志向と独自性の追求
健康や美容への意識の高まりを背景に、栄養バランスや無添加、オーガニックなどに配慮したメニューを提供するカフェやレストランが増加しています。また、消費者の多様なニーズに応えるため、独自性のあるコンセプトや体験を提供する店舗が注目を集めています。

4. IT技術の導入と業務効率化
人手不足やコスト増加に対応するため、IT技術の活用が進んでいます。具体的には、注文の自動化やロボットによる調理、AIを活用した業務効率化などが導入され、労働力の最適化とサービス向上が図られています。

5. インバウンド需要の取り込み
国際的な旅行需要の回復に伴い、訪日外国人観光客(インバウンド)の増加が期待されています。これにより、多言語対応や文化体験を提供する店舗が増え、インバウンド需要の取り込みが外食業界の成長要因となるでしょう。

全体として、2025年の外食業界は、経済的な課題に直面しつつも、新たなトレンドや技術革新、インバウンド需要の取り込みなど、多角的な戦略が求められる年となるでしょう。

写真:関 健一郎

執筆者関 健一郎

マネージング ディレクター

●コンシューマーグッズ、ラグジュアリー、ファッション、コスメティクス、リテール、エンターテイメント
●消費財マーケットで築いた、25年にわたる実績と信頼関係が強み

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